塗り絵をめぐる冒険

いち美術ファンによる、「目指せ、塗り絵上手!」な試行錯誤あれこれ。

【夏のレビュー企画】『世界の模様 ぬりえの旅』

 こんばんは(*^^*)
 今回は、『世界の模様 ぬりえの旅』を取り上げたいと思います(*^^*)

■基本的なこと


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著者:河合ひとみ
発行日:2015年3月15日
発行元:誠文堂新光社

◇特色◇
・両面印刷
・塗り方ガイドあり ※13ページ
・インデックスなし
・付録なし
・作品のジャンル:模様系

作品数は計数できず、分かりません💦

■出会いと付き合い
 昨年末、本屋の店頭で知り、買いました。
 様々な伝統模様を塗り絵にしたのが新鮮だった上、塗り方ガイドで詳しくポイントを解説している点が決め手になりました。

 本書は、年初に手を着けて以降、かなりマメに進めています。
 手持ちの塗り絵本の中でも、かなり気楽に手を着けたり中断したりしている本です。
 と、そのように、気安い存在と思っていたのですが。

 8月初めに、ハプニングが発生しました。
 ページが少しずつ本体から剥がれてきているのです……(>_<)
 塗ったり定着液をかけたりする度に、本のノドまで開く事を繰り返したせいでしょうか。
 本の崩壊は進み、今や半分程がバラバラな紙の束と化してしまいました(作品が計数できなくなったのは、こういう事情によります)💦💦
 塗る分には作業しやすくなったものの、どうやって保管していこうか、と頭を悩ませる今日この頃……(^^;
 
■ズバリ、どんな塗り絵か

 本書には、古代ギリシャのパルメット文様に始まり、ケルト組紐、ロシアのレース、各地の刺繍、ハワイのキルトの模様など、様々な模様がアレンジ少なめで収載されています。

 タイトルにある"世界の模様"というフレーズは、模様の収集範囲が地球上のどこかであるという大雑把な事しか伝えていません💦
 選んだ基準も明記されず、種類も多岐にわたるのですが、風雅の考察では、下記の3種類に分類出来そうです:
①形状が確立されている文様
②各地の伝統工芸品に表された模様
③来歴不明の外国産の品に見られる模様

 ①には、パルメット文様やフルール・ド・リス、青海波などが該当します。
 この種の文様は、例えば「青海波」と聞けば、10人中10人が同じ形状の模様を頭に思い浮かべることが出来るものです。

 ②には、ヴォログダ・レースやハワイアンキルトの柄などが該当します。早い話が、特定の地域で発達した伝統工芸に見られる模様や図案です。
 これらは、バリエーションがあるにせよ、当該の伝統工芸に対する知識さえあれば、模様を見た時に「あぁ、これはハワイアンキルトの亀🐢」等と、ネタ元が理解できるものです。
 模様自体が伝統的というよりも、ある工芸の伝統の一部として存在する模様とも言えます。

 ③には、「ドイツのプリント柄」「オランダのプリント布」のように、産地だけが明記されている模様が属します。その模様が産地の中でどういった位置づけにあるか、よく分からない一群です。
 「現地の雑貨屋で適当な布やタイルを買って来て、模様を模写してみたのかな…?」と、勝手に想像しています。①②に比べるとデザインの練度が低い気がして、少々テンション下がります(^^;

 ①②③を一括りにして「ハイ、世界の模様だよー(^o^)/」とまとめてしまった意義が、個人的にはよく理解出来ません。
「あたかも世界各地から採集したような体裁を整えたかったのか?」という憶測が思い浮かびますが……仮に①のタイプだけ集めてみても余裕で1冊出来上がると思うので、見当外れかも。
 風雅の好みから言うと、
「デザインとして練度の高い模様を厳選して欲しかった……」
というのが正直なところです。
 本書の中でもっとも安定して練度が高いのは、後ろ1/3程度を占める「日本の模様」のコーナーでしょうか。
 線画にそこはかとなく配置の妙があり、登場する模様に作者が親しんでいるのが察せられます。
 この質を一冊通して保てなかったのかな、と思うと、少し残念ですね(..)


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 本書では、塗り方ガイドだけでなく、線画のページにも短い説明文やアドバイスが添えられています。
 著者さん、面倒見が良すぎ(笑)
 模様に対する理解は深まる一方で、塗っている間、"ワークブックをこなしている"感覚が拭えません。
 一長一短…💦
 独創性ある塗り絵をする為の画集ではなく、塗ることで模様や色鉛筆の技術を体得する為のワークブックとしては、なかなか有用な本だと言えます。
 特に、伝統的な模様を単純な形から理解しようと思う場合、アレンジ少なめで、同じ模様を何度も塗る本書の構成はうってつけです。
 着色するという行為は、線画を見るだけでなく、脳内で再構成するプロセスを必然的に伴う為、単純に模様を見る場合より深い理解をもたらすのだと思われます。
 ちなみに、本書のアドバイスは割と語気強めです。面倒見よいのを通り越して、お節介な教師のように感じる時も(笑) 著者の性格が想像されて微笑ましい部分です。

 線画の線は黒か濃いグレーで、鉛筆の線をコピーしたようなギザギサ感があります。少し見づらく感じました。
 紙は、必要以上にツルツル系。
 塗り方ガイドを読むと、油性色鉛筆が唯一無二の画材として想定されているようです。
 油性色鉛筆でも、合わないものだと塗りにくかったり、発色が思わしくなかったり……と、かなり気難しい紙質のようでした。
 風雅が試した限り、概ね「硬い色鉛筆は相性がよくない」という感触です💦
 また、サインペンは、色は綺麗に出ますが、滑る感触がありました。

■作品例

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和柄の『青海波』&『千鳥』。
画材:油性色鉛筆。


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ロシアのヴォログダ・レースの柄。
画材:油性色鉛筆。


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古代ギリシャのパルメット模様。
画材:油性色鉛筆。



■終わりに

 それでは、感想コーナーで締めくくりたいと思います↓

好きか★★★★★★★☆☆☆
良いか★★★★☆☆☆☆☆☆
使い勝手★★★☆☆☆☆☆☆☆
達成感★★★☆☆☆☆☆☆☆
推奨度★★★★★★☆☆☆☆

 良いとも使い勝手がいいとも言えないのにお薦め度が高めという、やや奇妙な感想になってしまいました(笑)
 ちなみに、推奨理由は、こういった、方向性と効果が明確な本は、多少欠点があっても、価値が高いと思うからです。
 風雅自身、ある模様を基礎から理解したいと思った時に、"手を動かして学ぶ"アプローチが有効なのだと、本書を通して学びました。
 そういう意味では、手芸好きな方や美術ファンに特にオススメしたい本と言えます。

 今回は、やや異色の塗り絵本を取り上げました。
 もう9月で「夏の……」と名乗るのは微妙になってきましたが、まだ王道路線の塗り絵本が何冊か残っていますので、もうしばらくレビュー企画を続けようと思います。
よかったらまたお付き合いください。
 それでは、今回はこの辺りで(^o^)/