寒さの底から、こんばんは。
今回も天平文様塗り絵「夾纈羅幡残欠」制作話を続けて参ります。
前回の最後で書いた通り、この線画には正体不明のパーツがありました。
上段・中段・下段に1種類ずつで、形だけからは、実とも花とも葉とも見える部分です。
塗り絵本:『たまゆら』巻頭には、各作品について2点ずつ着色見本が載っているのですがーー
「夾纈羅幡残欠」の見本同士を見比べると、同じパーツを花びららしく暖色で着色してあったり、葉っぱらしく緑色にしてあったりする箇所が見受けられるのです。
正体不明のパーツに関しては、この着色見本を見ても解釈の余地が大きく、後回しにしていました。
他の部分を先に塗り、何となく全体像が固まってから、おもむろに検討し始めます:
「着色済の箇所とのバランスを考えると、何色を使いたいか?」
「上半分と下半分で、葉の割合は同じくらいになっているか?花の割合はどうか?」
気にしたのは、そういった事でした。
他との兼ね合いがどうかとか、まるで現実社会で気にする事と同じ言い回し(笑)
良くも悪くも、大人は"バランス"意識から逃れられないのでしょうね、きっと。
大人の塗り絵ってそういうことか……。
そんな感傷はともかく(笑)
画像と使用色を紹介していきますね。
■上段の実
この部分では烏賊の墨色(EX-9)を投入したのが、個人的な冒険ポイントでした。
茶系統の色を使うのが苦手なので、
「目立つところに配置して大丈夫かな…」
とドキドキしました。
幸い、そんなに浮いていないと思うのですが、最内の水仙(P-4)とは相性イマイチかも、と後になって気付きました。
烏賊の墨色、曲者かもしれません🦑
■中段の花と実
中段のこの辺りは、葉でも花でもアリだと思えて、どうしたものか考え込みました。
花にしたのは、「ピンク色の花!」と主張できそうな花が他になかったから。
色辞典の新色として登場したピンク系の2色:アネモネ(EX-6)と牡丹色(EX-7)が似通っているので、早めに慣れたくもありました。
明るいほうがアネモネ(EX-6)、僅かに暗いほうが牡丹色(EX-7)です。
葉と茎に囲まれた実っぽい部分は、周囲との連携を考えてこの色になりました。
しかし、お腹空いている時に見ると、さつまいもにしか見えないという…(^.^;
■下段の実
こちらは紫系統でいってみました♪
この2色だと濃淡の差があり過ぎて、間にもう1色挟みたくなりますね。
今回、紫系統の各色については探究不十分で終わってしまった為、自分への宿題にしておこうと思います。
■制作と色鉛筆に対する感想
前章までの工程を経て、「夾纈羅幡残欠」、無事完成しました♪
文様の縁を白くした効果か、文様の形がはっきりと出たので、満足しています。
同時に、天平時代の夾纈の文様がフチを取っていた理由が感得できました。
幡(ばん)のようにある程度広い空間で掲げられる布は、遠目にもくっきりと文様が見えるのが望ましいからか、と。
自分で手を動かして納得できたので、理の当然な事柄でも特別な発見をした気分です♪
最後に、色辞典36色セレクトセットを試した感想ですがーー
①和の文様塗り絵に好相性(確信)
②標準的な色が少ない
ということでした。
色が渋めな点と芯が硬めな点が、和の文様塗りに合うのだと思います。これからも和柄にはガンガン活用していこうと思います♪
②は、『12色や24色のセットに当たり前のように入っている色がないことがある』という意味です。
ピンクとか明るい黄緑とか原色の青とか(この辺が省かれた代わりに、濃い赤・紫系統・渋めの緑系統が充実しています)。
風雅は普通の色鉛筆セットに入っている"よくあるピンク"が好きではないのですが、今回、この普通のピンク色がなくて少し不自由な思いをしました。
そんなこともあり、
「自分のような初心者は、他のセットやバラ持ちの色鉛筆と併用していくほうが現実的なのかもしれない」
と感じています。
■終わりに
以上、3回にわたって「夾纈羅幡残欠」制作の記録をお届けしました。
少しでもお楽しみ頂ければ嬉しいです。
それでは〜♡(^^)/