塗り絵をめぐる冒険

いち美術ファンによる、「目指せ、塗り絵上手!」な試行錯誤あれこれ。まったり気ままな塗り絵ブログ。

『大人の塗り絵 美人画編』完成作品ギャラリー①:「想い」&「夏」

 こんばんは(^o^)

 今回は『大人の塗り絵 美人画編』完成作品ギャラリー第1弾でございます。

 お目にかけるのは「想い」と「夏」の2点のみなのですが、後者については制作のポイントにも触れています。

 よかったらお付き合いください♪

 

■想い

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画材:水彩色鉛筆、ダーマトグラフ、メタリックマーカー。

 2018年秋に塗りました。

 日本画っぽい仕上がりを目指した為水彩色鉛筆中心で、背景は事情によりステッドラー社のメタリックマーカーのお世話になりました。

 着物や帯の柄が手強かったのが印象に残っています。単に細かいだけでなく、こういう細部に"ぼかし"等の繊細な技巧を繰り出してくるのが和服の特徴なのですよね……💦気力を吸い取られる心地がしていました^_^;

 なお、制作中の紆余曲折は「制作の記録」記事(全3話)にまとめてありますので、よかったらご参照下さい。

white-fuga.hatenablog.com

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■夏

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画材:油性色鉛筆。

 2月中旬に1週間程かけて制作しました。

 本書の中でも、構図・主題ともにとても好きな線画の1つです。花菖蒲が群生し、柳が揺れる背景から推定すると、この美人さんは水辺にいると解釈できます。

 水辺に和装の美人……(≧∇≦)

 俄然テンション上がった状態から、本作の制作は開始されました。

 以下、制作のポイントをいくつか挙げていきたいと思います♪

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◇テーマ◇

 テーマは"気品"です。

『原画から滲み出ている気品を損なわず、色鉛筆の長所も活かして塗る』

という課題になりました。

 というのも、原画手本を見た時に

「この人は目を伏せていて顔の特徴が分かりにくいのに、何故美人に見えるのだろう?」

と疑問が湧き、考えた結果、

「上品で凛とした雰囲気がよく表されているから」

という結論に達したのです。花菖蒲のイメージが巧みに人物に転嫁されている訳ですね。

 このように、作品の魅力の根幹が"気品"と見て取れたので、そこは大事にしようと決めるました。

 塗り方のほうは、油性色鉛筆に無理のない範囲で日本画風に寄せる方針を立てました。

 

◇頭部◇

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 原画見本の解説によると、「大丸髷」という髪型で、新妻の装いだそうです。

 そう言われても風雅に見分けられる日本髪は3種類(「花魁」と「大名の奥方様」と「その他」)だけで、特徴がさっぱり分からないのが実状ですが^_^;

 玉簪は翡翠、櫛は鼈甲のつもりで塗っています。

 和傘の簪は、見慣れない形状で見当がつかないのですが、布製と解釈しました。和装が一般的だった時代の小物や柄には、現代の感覚だと突飛なものもありますよね💦

 

◇着物◇

 原画では着物の地色は白、帯も白地に藍色となっていましたが、塗り絵としては寂し過ぎる気がして、変更しました。

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 着物の地を薄い藤色、帯の地色を薄い青磁色にした理由は3つあります:

・どちらも好きな色。

・上品に見えやすい。

・花菖蒲の花と葉の色に近い組合せ。

制作上は3つめが重要なポイントかもしれません。原画が花菖蒲のイメージを人物に転嫁する戦略を取っているので、ぎこちなくも踏襲してみました♪

 

 ところで、原画手本の解説文にはこの着物が"辻が花"だと書いてあります。着色の参考になるかと期待してインターネットで情報を漁ったのですが、確実に分かったのは

『"辻が花"と呼ばれる着物は中世から存在するが、どういう着物をそう呼ぶかは時代によって異なっている』

という一事だけでした💦💦

 伝統工芸あるあるー……Orz

 正体がよく分からなかったので、"辻が花"のくだりは読まなかったことにしました。

 という訳で着物の模様は、ぼかしが入る手描き染めのつもりで塗っています。

 

◇花菖蒲&蝶◇

 中景の花菖蒲は、原画では淡い青緑色の影のようにぼんやりと描き表されています。

 その描写には幻想的で強く惹かれたのですが、同時に

「これは日本画だから出来る表現だろうな」

と感じました。

 色鉛筆では、たとえ首尾よく似せられたとしても日本画の絵の具ほどの効果は出せない気がしたのです。

 逆に、画面のどこかに「線」の質感が打ち出される部分があったほうが色鉛筆に合うと考え、線画にはない葉の輪郭線や葉脈を描き込むことにしました。

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葉の輪郭線の"捏造"作業は楽しいのですが、葉の重なり方が不自然にならないように気を付けながら進める為、一際集中して行います。一度に20分程度しか持続しないので、着物と並行しながら塗り進めました。

 

 花の色は、早い段階で色辞典ラピスラズリをメインで使うと決めていました。

 現実の花菖蒲は青い花でもやや紫がかっているようですが、

「凛然として気品を感じさせる和の色と言えば、何と言っても瑠璃色!ラピスラズリ!」

とここは強行突破しました(笑)f:id:white_fuga:20190228203131j:image

 蝶は、カラスアゲハとして塗る案も浮かんだのですが、緑がかった光沢を放つ黒い翅の色は、現在の力量では到底塗り表せず、断念しました……(ToT)

 思案の後、この画面の蝶は『一瞬花かと見紛う』ことが存在意義だと思い、花の色に似せて藍色がかった翅色にしました。
 なお、カラスアゲハ塗りは当然今後のリベンジ項目の1つです。難しそうなので、いつ実現出来るやら……💦でも、頑張ります。

 

 以上、「夏」の制作話が結構長くなってしまいましたが、『大人の塗り絵 美人画編』ギャラリー第1弾をお届けしました。

 今回もお付き合い頂き、ありがとうございました。

 それでは、また〜(^^)/"