塗り絵をめぐる冒険

いち美術ファンによる、「目指せ、塗り絵上手!」な試行錯誤あれこれ。まったり気ままな塗り絵ブログ。

【制作の記録】都落ちと唐衣〜伊勢物語の燕子花〜 その2

 こんばんは〜♪

 『平安王朝絵巻ぬりえbook』所収「八ツ橋(伊勢物語)」制作話の第2弾をお届けします。

 第1弾では八橋下塗りと水面塗りについて書きました。本稿でも引き続き風景部分の制作を進行していきます。

 

■八橋の下の暗がり

 水面塗りの直後、橋板の下が薄暗く見えるように色を重ねました。

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 このもやっとした薄暗がりがあることで、本作品の八橋が象徴ではないことが伝わるかと思い、ひそかに気合いを入れました(象徴でない何を描くつもりかと問われれば、おこがましくも『風雅の脳内で色づいた物語の情景』と言わざるを得ないのですが💦)。

 

 ここは水面塗りのライラック(888色鉛筆)の上から陰の色を薄塗りで2〜3回重ねました。

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 八橋は画面の左下から右上に向かってジグザグに曲がりながら続いていっています。左半分にUniカラーのブルーグレー(567)とポリクロモスのEarth Green(172)、右半分にUniカラーのブルーグレーとピーコックブルー(888色鉛筆)を使用しました。

 うっすら靄がかかっているイメージの為、距離が離れると青味が強く見えるものではないかと思い、左右で色を少し変えています。

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■八橋

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 水面塗りの後から、八橋にも取りかかりました。

 使用色は下の通りです☟:

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 杭は、基調色のセピアで塗りました。

 橋板には上の画像の6色を使っています。

 線画の八橋は定規そのままのような直線で描いてあるのですが、年数を経てくたびれた八橋にしたかった為、木目をフリーハンドで入れました。

 色鉛筆は最初に先を尖らせてから、鉛筆のような持ち方をして橋板の輪郭線と平行に3〜4cmの直線をサッサッと引いていくという動かし方をしました。

 この時、フリーハンドだとヨレたり平行でなくなったりする場合もありますが、概ね消さずに残しました。というのも、そういう線があると、板材が傷んで凹んだり歪んだりしたように見える為です。

 また、橋板が僅かに傾いているように見せる為、橋板同士の接合部付近の陰(※黒い線で表します)を一定の太さにならないようにしました。

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 このような小細工を混じえつつ、時々色鉛筆を替えて塗り続けます。f:id:white_fuga:20190706191223j:image

 上⬆の画像から分かる通り、初めに橋板1枚分だけ完成させてみて、この方法で塗れる感触を得てから他の板にも手を広げました。

 やがて、念願のオンボロな八橋が出来上がりました♪

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 塗り上がった時に八橋のところだけ紙が延びていたのは実話です💦。この塗り方、紙には少々負担が大きかったのかも…💦

 

■四隅の雲☁

 さて、この線画の四隅には、雲状のものがたなびいています。

 このような雲は本書の他のページにも見られるもので、画面を絵巻物風に仕立てる為の装飾要素(端的に言い換えると「ちょっと凝ったフレーム)と考えられます。

 但しこのページに限れば、水辺の靄を様式化して描いているとの解釈も出来ます。

 前々章でも記した通り、うっすら靄がかかった風景として描き出したい風雅としては、このフレームの"靄"感も利用したくなりました。

 そういう訳で、画面の中にある重要な色と近くて、かつそれに靄をかけたように薄い色を四隅の雲に配しました。

 メインのエメラルドグリーンは燕子花の葉と、薄いピンク(色名だと"ジョンブリアン")やラベンダーは花びらの色と響き合うだろうと見込んでいます。

 既にひと通り塗り終わり、このパーツについては『完成(仮)』となりました。f:id:white_fuga:20190706200200j:image

 ただ、こういう形の装飾要素を塗り慣れていない為、今ひとつ加減が分かりません💦

 他の部分を塗り進めるうちに雲とのバランスが悪いと感じた場合は、出来る範囲で修正していこうと思っています。

 

■小休憩

 今回は八橋周辺と四隅の雲☁の着色について書きました。

 制作自体はもう少し先まで進んでいて、現在はちょうど燕子花の葉っぱを塗り終わったところです。

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 この葉っぱと花から成る燕子花の群生が本作品の最大のポイントになる為、葉っぱについては続きの記事に回そうと思います。

 塗るのも書くのも遅くて申し訳ありませんが、よかったらまたお付き合いください。

 それでは、また〜(^^)/