塗り絵をめぐる冒険

いち美術ファンによる、「目指せ、塗り絵上手!」な試行錯誤あれこれ。まったり気ままな塗り絵ブログ。

"Nightfall"より「キツネの散歩」が完成していました。

 こんばんは(*^^*)

 連休中、近所の小さな公園でアカツメクサの花を見かけました☟。

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 野原に咲く花だと思い込んでいたので、宅地の公園の植え込みで見かけるとは意外の感がありました。

 今回は、このアカツメクサも登場する作品の話をしたいと思います(^^)

 何となれば、ここまでGW中の成果の報告は天平文様を含む和柄に偏っていたのですが、実はもう1点(模様ではない)大本命があったのです…フフフフ( ̄ー ̄)ニヤリ。

 

 まずは完成作品をご覧ください☟。

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所収:Maria Trolle著 "Nightfall"

画材:油性色鉛筆。

 

 未着色の時はこんな感じでした。
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 野原(?)を進むキツネを中心とした線画。近景に草花と木、中景に野原とキツネ、遠景に針葉樹と天体を配した風景画ふうの構図となっています。

 天体を太陽とするか月とするかで、夜中にも真昼にもできそうでしたが、本書全体に"夜"のイメージを感じている為、月🌕として着色しました♪

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 この線画、遠景まで描かれている割に遠近感が分かりにくいのです…Orz。より正確に述べると、現実世界で培われた自分の"遠近に対する感覚"が通用しなくて

「時空が歪んでる〜(ToT)」

と途方に暮れるというものでした。

 例えば、手前のスミレと画面右の木の間が何M離れているのか。これが写真だったら影の入り方から「6畳間の長辺くらいかな」とか大雑把に把握出来ると思うのですが、線画の状態だと同じことができません💦

 Trolle氏の線画ではこのような経験が何度もあります。…相性悪いのかなぁ?

 

 勿論、冷静に考えれば、そこを自分で何とかするのが"大人の塗り絵"。

「このつかみきれない距離感を上手に誤魔化すにはどうすれば……」

と考え、草花や木や野原の土といった各モチーフの間に暗がりを置くことにしました。

 近景の草花周辺の暗がりは、(線で描かれていなくても)状況的に草が生えているのが自然かと思われ、紫や灰緑、グレーを斑に重ねました。

 目指した境地は印象派前後の西洋の油彩画でした(←目指しただけ💦)。その頃の油彩画は『よく見えないけれど存在する物とその陰』をモノクロ以外の絵の具も混ぜて描いている印象が強く、憧れを抱かせるのです。

 暗がりを描くのに紫や緑といった目立つ色を使うのは初めてのことで、それ自体が新鮮でした。今回は「やってみた!」で終わっていますが、別の線画でも機会があれば実践するなどして気長に練習します(^^)

 

 夜の場面では、光が当たる所をどう描くかも、重要なポイントかと思います。

 今回の線画で最大の光源は満月🌕です。

 その強い光を浴びて、丈の高い花や木の葉が自ら輝いているかのように見せたくなりました。

 活躍したのは色辞典の蛍光色でした。

 蛍光色は近似の一般色と混ぜたり隣合わせにして塗ったりすると、画面上で悪目立ちせずに働いてくれるのだと今回学びました。f:id:white_fuga:20190511193210j:image

 

 このようにして作業を進めていき、最後に月とキツネが残りました。 

 その時点までキツネの毛色は明るめのオークルにしようと思っていたのですが、

「キツネ色で塗っても目立たない!!」

と遅まきながら気づきました。

 花や葉はおろか野原の草までも煌々と光っているモチーフに囲まれていては、類似色のキツネ色だと埋もれてしまいます。

 そこで、思い切ってキツネの毛色を暗くすることにしました。

 毛色が暗いと最初に見た時には見過ごされるかもしれませんが、近景・中景・遠景の光るモチーフをたどっていると、どこかで画面中央の"黒いヤツ"が目に入るはず。コレをよく見るとギンギツネだったーーとギョッとして頂けたらいいかも、と考えての配色です。f:id:white_fuga:20190511195437j:image
 ただ、ギンギツネは毛色がカッコいいので、塗っている間ずっと、画像を見るのが楽しくてたまりませんでした(≧∇≦)

 なお、着色の際にはUniカラーのBlue Grey(567)が活躍してくれました♪f:id:white_fuga:20190511200831j:image

 そしてキツネの後に月を塗り、作品完成となりました(^^♪

 ちなみにアカツメクサは最前列の中央左寄りに位置しています。露骨に脇役扱いですが葉っぱが特徴的なので、すぐ気づかれたかと思います。

 

 「キツネの散歩」制作に関する話は以上ですが、本稿のように塗り方(how)ではなく、何を考えて(why)塗ったかを記したものはメイキングと称してもいいものでしょうか…?個人的には多少違和感があった為、題に【制作の記録】とは付けていません^^;。

 

 逆に5/9付の「円鏡平螺鈿背」関連記事ではもっぱら何をしたかを書き連ねていましたね。

 後から読み返して

「制作者が何を考えているかサッパリ分からないのでは……?」

と不安になったので、補足として現在の進捗画像を上げておきます☟。

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上は最も順調な部分の画像です。

これでお察し頂けるかと思いますが、文様の背景を✨キラキラ✨モザイクで埋めようとしているのです。

「飽きっぽくて単調な作業が嫌いなくせに、どうしてこんなことを始めるかなぁ?」

と自問すると

「この線画に関して思いついた複数の案の中で、一番素敵な仕上がりになる気がした」

とか細い声で答えが返ってきました…💦

 そういう訳で、途中で嫌気が差して挫折するかもしれませんが、できる限り頑張ってみようと思います。

 よかったら気長に見守って下さい(^人^)

 

 それでは、また(^^)/