塗り絵をめぐる冒険

いち美術ファンによる、「目指せ、塗り絵上手!」な試行錯誤あれこれ。まったり気ままな塗り絵ブログ。

【雑談】芸術鑑賞の秋

 こんにちは〜(^^♪

 昨日、上野公園に行き、母と2人で美術館のハシゴをして来ました。

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 待ち合わせ前に15分程時間が空いていたので、国立西洋美術館の前庭へ。ここにはロダンの彫刻が数点野外展示されているのです。

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カレーの市民たち』とーー

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地獄の門』。この有名な2点を観ました。

 既に何度も観ている作品ですが、観る度に驚嘆を新たにします。全体に漲る緊張感が凄まじくて、"圧"を感じるのです。

 冷たい風の中、隅っこに椅子を持ち込んでスケッチをしている方もいて、この傑作から真摯に何かを学び取ろうとしているのが伺えました。

 

 ロダンの彫刻で程よく芸術鑑賞スイッチが入ったところで折よく母と合流し、東京都美術館へ向かいます。ここの『コートールド美術館展〜魅惑の印象派〜』を観るのが、この日の第一の目的でした。

 シルバーデー(65歳以上無料の日)とあって館内は混雑していました。

 しかし、展示作品自体も展示スタンスも期待以上で、混雑を堪えても見学するに値する企画展だったと思います♫。

 展覧会は、コートールドなる英国の織物商が収集・寄贈した印象派周辺の傑作を紹介するものです。コートールド氏は目が高い人物だったようで、とりわけセザンヌに関しては

「こんないいセザンヌ観たことない…!」

と思う程の佳作揃いでした。

 コートールド氏はセザンヌが大好きだったようです。セザンヌが若い画家に宛てて送った直筆の手紙まで収集したそうで、現物が一角に展示されていました。

「自然との接触によって目は鍛えられる」

と日本語訳に訳された一節が印象に残りました。 

 絵を描く為の観察力をどう養うか、という問題に図らずも助言が得られたので、今後のお絵描きで意識していこうと思います。

 ところで、本展の特色はスタンスにも表れていました。何点かの傑作に関しては大きな解説パネルが立ち、絵の中のポイントとなる箇所が指摘されていました。

 ある美術作品の制作過程を辿ったり類似作品と比較・対照することで、作り手に寄り添った見方をすることができるーーコートールド美術館はそういった姿勢での作品研究を積極的に進めているようです。

 つまり、いい意味での教科書的なアプローチが例示されているので、美術館へ行く度に

「分かったような分からんような……」

と消化不良感が残る鑑賞者にも示唆的かと思います。

 描き手目線も重視されているので、お絵描き修行中の身にも大いに収穫がありました。

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 見学後、そのまま美術館内のカフェで昼食。その時の相談で、2軒目は東京国立博物館(通称:東博)で「正倉院の世界展」を見ようという話になりました。

 この企画展は正倉院御物の一部と、東博が所有する同時代の文物を並べて展示する試みです。

 企画展としても意欲的な展示ですが、公開される正倉院御物の名前だけでも十分に見学者を惹き寄せている気がしました^_^;。

 通期の目玉:黃熟香(いわゆる蘭奢待)。

 前期の目玉:螺鈿紫檀五絃琵琶。

 後期の目玉:白瑠璃碗。

 いずれも"正倉院の顔"的な宝物で、豪快なラインナップです。風雅はホイホイと釣られ、10月に前期展示を観て「螺鈿紫檀五絃琵琶」その他の天平文物にすっかり魅了されて帰りました。

 昨日は見学できる時間が短めだったので、後期展示の正倉院宝物を中心に観ました。

 白瑠璃碗も素晴らしいのですが、風雅の第一の狙いは「木画紫檀槽琵琶(もくがしたんそうのびわ)」でした。

 前期の「螺鈿紫檀五絃琵琶」と入れ替えられたもので、こちらは絃4本の琵琶でした。背面の装飾は一種の寄木(よせぎ)で、天平時代のものは「木画(もくが)」と呼ばれるようです。

 木画は、色味の異なる木材を嵌め合わせて文様を表すという渋〜い技法です。

 そして、今回観た琵琶の背面の文様はと言えば、4月に塗り絵で触れたことがあるものでした…!

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 上の画像が、その文様です。

制作時は原物の画像を探さずに塗りました。

 今回の企画展で初めて木画の文様として観て、自分の作品と色合いは全く異なるのですが、非常に親近感を覚えます。

 塗る時にじっくり文様を見つめ、配色のバランスを考えた経験があるお蔭か

「知ってる知ってる〜♡」

と嬉しくなりました。

 と同時に、原物の配色の美しさにも驚嘆を禁じ得ません。色自体は渋めながら、木の質感でツヤ感や模様が出ていて、想像するよりも華やかに見えました。元々寄木細工が好きなこともあり、もっと木画の美術品を観たくなりました。

 

 すっかり天平熱に浮かされて帰宅した必然の結果として、昨日のインクトーバーは正倉院御物の文様描き起こしとなりました☟。

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画材:油性色鉛筆(赤、黃、白、メタリック緑)。

 ネタ元の御物は「紅牙撥鏤碁子(こうげばちるのきし)」という象牙製の碁石です。

 花のついた枝を咥える鳥は、「花喰鳥」と呼ばれるモチーフで、天平時代の工芸品ではよく見られるものです。

 こんなふうに絵柄のついた碁石で対局したら、楽しいかもしれませんね(^^)

 

 以上、本稿では芸術鑑賞に明け暮れた一日の話をお届けしました。

 母の誕生日が来月下旬で

「人物画が観たい❤(ӦvӦ。)」

とリクエストされたので、ぼちぼち題材探しなどもしていこうかと思います。

 今日もご覧頂き、ありがとうございました〜♫

 それでは、また(^^)/