塗り絵をめぐる冒険

いち美術ファンによる、「目指せ、塗り絵上手!」な試行錯誤あれこれ。まったり気ままな塗り絵ブログ。

【雑談】"Escape to Shakespeare's World"【新刊】

 こんばんは(*^^*)

 今回は突発記事です。

 9/15、新しい塗り絵本が届きました゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚

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"Escape to Shakespeare's World"という題の、ムック型の洋書です。シェイクスピアの故国イギリスで発行されました。

 パラパラとめくっていくと……


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やや妖しい目付きのシェイクスピア氏。


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マクベス』の主人公マクベスの居城。


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ヴェネツィアのリアルト橋は、もちろん『ヴェニスの商人』から。

 こういった写実系のイラストの他、台詞に着想した幻想画風のイラストが、その詩句とともに多数収められています。

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 原則的に文字が書かれたイラストを好まない風雅ですが、箴言や格調高い詩句は、ミスマッチでなければ許容範囲。本書のイラストは、抵抗感なく受け入れられました♪

 

 全体に、『シェイクスピアの作品の名場面を描いた』というより、『詩句や作品の背景から喚起される空想を視覚化した』と理解したほうが適切かと思います。

 今はまだ線画を眺め渡しただけなのですが、面白い試みだと感じました。

 これから、シェイクスピアの作品も参考にしつつ、マイペースに楽しく塗っていきたいと思います(*^^*)

 

 という訳で、今回は簡単なご報告まで。

 次は進行中のレビュー企画になると思いますが、よかったらお付き合いください。

 では、本日はこの辺りで(^o^)/

【夏のレビュー企画】『森の少女の物語』

 こんばんは♪

 更新が遅れてしまい、すみません💦

 今回は、ポストカード型塗り絵の『森の少女の物語』を取り上げます。

 

■基本的なこと


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著者:井田 千秋

発行元:日本ヴォーグ社

発行日:2017年12月24日

 

◇特色◇

・片面印刷+裏面ワンポイントイラスト

・塗り方ガイドあり ※1ページ分

・作品数:20点

・作品のジャンル:風俗画系

・インデックスなし

・着色見本あり ※8点

 

 葉書サイズの線画20点が、各2枚ずつ。

 この他に、小型カード6種類が各2枚ずつと大型カード1枚が付いてます。

 また、着色見本は著者の手になるもので、これもポストカード仕様になっています。つまり、切手を貼れば郵送に使えます。

 

■出会いと付き合い

 塗り絵を始めて間もない頃、本屋で現物を見て、「葉書大なら塗りやすいかも?」と思って買いました。

 遠近感のある"絵画"らしい線画が多く、その種の線画に挑戦し始めるのにうってつけかと考えたのです。

  期待は、半分だけ的中。

 葉書仕様で大きさも手頃な上、先に切り離して塗れる点で、環境的に塗り易いのは想像通りでした(*^^*)

 反面、絵柄のほうは、意外と初心者にとって難しい印象を受けました。

 1枚の線画に、人物、植物、家具、雑貨等、種類の異なる対象が描かれていて、塗り分ける技術が必要だと痛感💦

 悲しいことに、そういう事実は塗り始めてから気がつくものなのですよね……(..) 「うむむ、これは容易ならん」と思ったところでペースダウンし、はや数ヶ月。

 正直に言ってやや放置気味です(^^;

 本ブログで殆ど言及していなかったのも、そういう事情によります。

 スイッチが入ると途端に進む類の塗り絵本だとも感じているので、未来に期待したいと思います💦💦

 

■ズバリ、どんな塗り絵か

 本書は、森の中に住む、借り暮らしのアリエッティ並に小さな女の子の生活を描いた線画集です。

 題に"物語"とあるものの、個々の線画相互に明確な連続性はなく、起承転結のある物語ではありません。

 ただ、女の子が木の幹を住居として改造して暮らしている為、本書はある物語の設定資料を眺めるような趣が感じられます。

 奇しくも、線もコンテに似た茶色。

 明瞭な輪廓線と、陰影を表す点や線があり、全体に丸みを帯びているのが特徴です。

 著者の画風とも合って、全体に温かみのある画面になっています。

 例によって、塗りかけのページを載せてみましょう↓。

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 カントリー調の風情ある住まいですね。嫌味も毒気もなくて、ひねくれ者の風雅には何となーく居心地の悪い世界(^^;

 そんな好みの問題にも増して、気になる点は、"物が多い"という事実でしょうか。

 「断捨離しなよ…」とかではなく、あくまで塗り手目線で、物が多くて種類も豊富なのは厄介です。配色も悩みますし、何と言っても材質の違いを塗り分けないと、線画が活かしきれません💦💦

 そういう訳で、葉書サイズながらそれなりの難易度を感じさせられます。ただ、挫折する前に塗り終わるのが有り難い点です。

 

 本書には、下の画像のような見本が8点付いています↓。

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 これが、作者ならではの完成度とプロならではの技術を見せつけてくれていまして、「塗り絵の見本としてはどうなのか」という気がします(^^; "上手過ぎてなかなか真似が出来ない"という好例では、と。

 また、8点とも画材やタッチが似通っているのも、見本としての価値を下げていると思いました。

 塗り絵本の着色見本は、読者に「私にも塗れる」、「こんな塗り方もしてみたい」という手応えや刺激をもたらして然るべきだと思うのですが、本書の場合はあまりそういった利点が感じられず、残念なオマケと化しています。

 個人的には、見本無しでも、その分値段を下げて発売してくれたほうがよかった、と感じました。

 

 しかし、その残念な見本のページを除けば、本の造りは上々です(*^^*)

 何と言っても、紙が塗りやすい…!!

 本書最大の長所は、と問われれば、風雅は迷わずこの紙質を上げます。

 ちなみに、これまで本書で使ったことのある画材は、油性色鉛筆、水彩色鉛筆、サインペン、水彩毛筆です。

 乾いた水彩色鉛筆で塗った後から水筆でなぞった際には、紙が少し反った記憶があるのですが、数ヶ月クリアファイルに挟んで放置したところ、撓みが残っていませんでした(*^^*)

 線画1種につき2枚ずつ入っているのも、面白い特徴ですね♪ 誰かに作品をプレゼントしたり、葉書として送ったりする方には便利そうです。

 ただ、既にレビューしている方々が揃ってこれを絶賛しているのを読むと、多少違和感があります。

 というのも、風雅自身は2枚組のうち2枚とも着色したことがないのです。飽きっぽい為か、同じ線画を2回塗る気がまるで起きません…(^^;

 風雅と同じように片側のカードは白紙のまま残っている方もいるのではないか、と想像されるのですが、皆さまどう活用しているのでしょうか。少々気になるところです。

 

■着色例


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画材:水彩色鉛筆。

水を使わない、「ドライ」と呼ばれる塗り方のみで塗りました。窓ガラスは、透明なガラスを塗る技術がなかったので、苦肉の策としてステンドグラス風に着色しました。


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画材:油性色鉛筆。

 最初に持っていた12色の色鉛筆セットで難儀し、混色も上手くいかず、何本かバラで買い足してから完成させた作品です。

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画材:サインペン、水彩毛筆。

 「ペン類でどれだけ塗れるのか?」と試しに塗ってみた作品です。家具や小物をペンで色を塗り分けようとした結果、微妙なセンスの部屋になりました💦

 

■終わりに

 おしまいは恒例の感想コーナーです。

 ・好きか★★★★★☆☆☆☆☆「普通」

 ・良いか★★★★★★★☆☆☆

 ・使い勝手 ★★★★★★★★☆☆ 

    ・達成感★★★★★★☆☆☆☆

 ・推奨度★★★★★☆☆☆☆☆

 本書は使い勝手がいいので、著者の画風が嫌いでなければ、買って損した気分にはならないと思います。

 ただ、絵柄の特性上、始めたばかりで手持ち画材の色数が少ない方や、これから始めるという方には向かないかもしれません。

 

 以上、『森の少女の物語』レビューをお届けしました。

 残るは2冊ですね。どちらの本になるか分かりませんが、よかったらまたお付き合いください(*^^*)

【夏のレビュー企画】『世界の模様 ぬりえの旅』

 こんばんは(*^^*)
 今回は、『世界の模様 ぬりえの旅』を取り上げたいと思います(*^^*)

■基本的なこと


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著者:河合ひとみ
発行日:2015年3月15日
発行元:誠文堂新光社

◇特色◇
・両面印刷
・塗り方ガイドあり ※13ページ
・インデックスなし
・付録なし
・作品のジャンル:模様系

作品数は計数できず、分かりません💦

■出会いと付き合い
 昨年末、本屋の店頭で知り、買いました。
 様々な伝統模様を塗り絵にしたのが新鮮だった上、塗り方ガイドで詳しくポイントを解説している点が決め手になりました。

 本書は、年初に手を着けて以降、かなりマメに進めています。
 手持ちの塗り絵本の中でも、かなり気楽に手を着けたり中断したりしている本です。
 と、そのように、気安い存在と思っていたのですが。

 8月初めに、ハプニングが発生しました。
 ページが少しずつ本体から剥がれてきているのです……(>_<)
 塗ったり定着液をかけたりする度に、本のノドまで開く事を繰り返したせいでしょうか。
 本の崩壊は進み、今や半分程がバラバラな紙の束と化してしまいました(作品が計数できなくなったのは、こういう事情によります)💦💦
 塗る分には作業しやすくなったものの、どうやって保管していこうか、と頭を悩ませる今日この頃……(^^;
 
■ズバリ、どんな塗り絵か

 本書には、古代ギリシャのパルメット文様に始まり、ケルト組紐、ロシアのレース、各地の刺繍、ハワイのキルトの模様など、様々な模様がアレンジ少なめで収載されています。

 タイトルにある"世界の模様"というフレーズは、模様の収集範囲が地球上のどこかであるという大雑把な事しか伝えていません💦
 選んだ基準も明記されず、種類も多岐にわたるのですが、風雅の考察では、下記の3種類に分類出来そうです:
①形状が確立されている文様
②各地の伝統工芸品に表された模様
③来歴不明の外国産の品に見られる模様

 ①には、パルメット文様やフルール・ド・リス、青海波などが該当します。
 この種の文様は、例えば「青海波」と聞けば、10人中10人が同じ形状の模様を頭に思い浮かべることが出来るものです。

 ②には、ヴォログダ・レースやハワイアンキルトの柄などが該当します。早い話が、特定の地域で発達した伝統工芸に見られる模様や図案です。
 これらは、バリエーションがあるにせよ、当該の伝統工芸に対する知識さえあれば、模様を見た時に「あぁ、これはハワイアンキルトの亀🐢」等と、ネタ元が理解できるものです。
 模様自体が伝統的というよりも、ある工芸の伝統の一部として存在する模様とも言えます。

 ③には、「ドイツのプリント柄」「オランダのプリント布」のように、産地だけが明記されている模様が属します。その模様が産地の中でどういった位置づけにあるか、よく分からない一群です。
 「現地の雑貨屋で適当な布やタイルを買って来て、模様を模写してみたのかな…?」と、勝手に想像しています。①②に比べるとデザインの練度が低い気がして、少々テンション下がります(^^;

 ①②③を一括りにして「ハイ、世界の模様だよー(^o^)/」とまとめてしまった意義が、個人的にはよく理解出来ません。
「あたかも世界各地から採集したような体裁を整えたかったのか?」という憶測が思い浮かびますが……仮に①のタイプだけ集めてみても余裕で1冊出来上がると思うので、見当外れかも。
 風雅の好みから言うと、
「デザインとして練度の高い模様を厳選して欲しかった……」
というのが正直なところです。
 本書の中でもっとも安定して練度が高いのは、後ろ1/3程度を占める「日本の模様」のコーナーでしょうか。
 線画にそこはかとなく配置の妙があり、登場する模様に作者が親しんでいるのが察せられます。
 この質を一冊通して保てなかったのかな、と思うと、少し残念ですね(..)


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 本書では、塗り方ガイドだけでなく、線画のページにも短い説明文やアドバイスが添えられています。
 著者さん、面倒見が良すぎ(笑)
 模様に対する理解は深まる一方で、塗っている間、"ワークブックをこなしている"感覚が拭えません。
 一長一短…💦
 独創性ある塗り絵をする為の画集ではなく、塗ることで模様や色鉛筆の技術を体得する為のワークブックとしては、なかなか有用な本だと言えます。
 特に、伝統的な模様を単純な形から理解しようと思う場合、アレンジ少なめで、同じ模様を何度も塗る本書の構成はうってつけです。
 着色するという行為は、線画を見るだけでなく、脳内で再構成するプロセスを必然的に伴う為、単純に模様を見る場合より深い理解をもたらすのだと思われます。
 ちなみに、本書のアドバイスは割と語気強めです。面倒見よいのを通り越して、お節介な教師のように感じる時も(笑) 著者の性格が想像されて微笑ましい部分です。

 線画の線は黒か濃いグレーで、鉛筆の線をコピーしたようなギザギサ感があります。少し見づらく感じました。
 紙は、必要以上にツルツル系。
 塗り方ガイドを読むと、油性色鉛筆が唯一無二の画材として想定されているようです。
 油性色鉛筆でも、合わないものだと塗りにくかったり、発色が思わしくなかったり……と、かなり気難しい紙質のようでした。
 風雅が試した限り、概ね「硬い色鉛筆は相性がよくない」という感触です💦
 また、サインペンは、色は綺麗に出ますが、滑る感触がありました。

■作品例

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和柄の『青海波』&『千鳥』。
画材:油性色鉛筆。


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ロシアのヴォログダ・レースの柄。
画材:油性色鉛筆。


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古代ギリシャのパルメット模様。
画材:油性色鉛筆。



■終わりに

 それでは、感想コーナーで締めくくりたいと思います↓

好きか★★★★★★★☆☆☆
良いか★★★★☆☆☆☆☆☆
使い勝手★★★☆☆☆☆☆☆☆
達成感★★★☆☆☆☆☆☆☆
推奨度★★★★★★☆☆☆☆

 良いとも使い勝手がいいとも言えないのにお薦め度が高めという、やや奇妙な感想になってしまいました(笑)
 ちなみに、推奨理由は、こういった、方向性と効果が明確な本は、多少欠点があっても、価値が高いと思うからです。
 風雅自身、ある模様を基礎から理解したいと思った時に、"手を動かして学ぶ"アプローチが有効なのだと、本書を通して学びました。
 そういう意味では、手芸好きな方や美術ファンに特にオススメしたい本と言えます。

 今回は、やや異色の塗り絵本を取り上げました。
 もう9月で「夏の……」と名乗るのは微妙になってきましたが、まだ王道路線の塗り絵本が何冊か残っていますので、もうしばらくレビュー企画を続けようと思います。
よかったらまたお付き合いください。
 それでは、今回はこの辺りで(^o^)/

【夏のレビュー企画】『海の楽園』、あるいは塗り絵界の琳派。

 こんばんは(*^^*)

 今回は夏のレビュー企画の続きで、ジョハンナ・バスフォード『海の楽園』を取り上げてみたいと思います。

 変な副題が付いていますが、あまり気にせず、いつも通りに基本的な事から見ていきましょう(^o^)/

 

■基本的なこと

 

『海の楽園 不思議いっぱいのぬりえブック』

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原題:"Lost Ocean"

著者:Johanna Basford

日本語版発行日:2015年10月25日

発行元:グラフィック社

文・翻訳:西本かおる

 

 私の手元にあるのは2016年6月に刷られた、初版第10刷のものです。

  世に出てから1年足らずで10刷!破壊的な需要があったのが察せられますね。

 なお、著者の先行作『ひみつの花園』『ねむれる森』にはアーティスト・セレクション版もありますが、本書にはありません(残念…ヽ(;´ω`)ノ)。

 

◇特色◇

・両面印刷 

・インデックスあり

・塗り方ガイドなし

・付録:大判ポスター型ぬりえ(両面印刷)

・作品数:53

・ジャンル:風景画系・模様系

 

■出会いと付き合い

 「バスフォード女史の本を1冊塗ってみたい!」と思い立ち、書店で買いました。

 同じ著者の本が何冊も出ている中で本書を選んだ理由は、4点ありました:

①海と帆船が好き

②線画に文字が入っていない

③独自性と完成度があり、美しい

④苦手な生き物がアップになっている線画がほとんどない

 

 説明が必要なのは②④でしょうか。

 まず②は、風雅の偏屈なこだわりです。

 風雅は『絵というものは言葉を使わずに何かを表現する点に一つの意義がある』と考えています。文字無しで状況を描き出すことこそ画家の腕の見せどころと信じている為、線画の中に文字が入ると、描き手が表現力不足を認めて白旗揚げたように感じるのです(^^;

 一方、④については嗜好の問題ですね。

 風雅がビシュアル的に「無理~💦」と感じる生き物とは、虫・両棲類・爬虫類の殆ど。この種の生き物に焦点を当てた線画が多数含まれていると、他のページが素敵でも買う気が減退します(本書では、海ヘビのページが「キツいな」と感じる程度で済みました)。

 これに①③の理由もあって、迷わず選んだ『海の楽園』ですが、自宅で開いた時最初に感じたのは、

「生命感ありすぎて怖い((( ;゚Д゚)))💦」 

という畏怖でした。

 その第一印象ゆえか、本書を塗る時は今でもシャキーン(`・ω・´)と背筋が伸びる気がします。

 その為、自然と『ページ毎にテーマを決め、時間と手間を惜しまず、真剣に塗る』という方針が定まりました。水彩色鉛筆と相性がいい本なので、主に水彩色鉛筆の修行の場となっています。

 風雅にとっては半年経っても「手ごわい」と感じる程なのですが、1冊塗り終わった時に水彩色鉛筆の技術が上がっている事を夢見つつ、塗り続けています。

 

■ズバリ、どんな塗り絵か

 本書では、珊瑚礁を中心にした海中風景と海絡みのモチーフが描かれています。

 線の色は黒。

 輪廓線は滑らかで概ね明瞭ですが、1枚の線画に0~2ヶ所位の割合で、対象物の前後関係や構造が曖昧な部分が現れます。

 陰影や質感を表す線や点は、程々に入っています。

 

 独特の画風なので、まずは塗りかけページの画像をご覧ください↓


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   画像では伝わりにくいかもしれませんが、大型本のサイズでこの線画を見ると、ゾッとする程の迫力があります。特に未着色だと、その印象が強く感じられます。

 本書には、明確な物語はありません。

 主役と呼べる登場人物もいません。

 その代わり、珊瑚、海藻類、魚、亀といったモチーフが、大きさを変え、構図を変えて、繰り返し繰り返し描かれています。

 生き物のモチーフについては、「もっと種類があってもいいのに」と思う位で、やや物足りません。シャチとダイオウイカという2大アイドルが両方とも出て来なくて、個人的には残念至極でした(^^;

 著者の画風に話を戻すと、頻出するモチーフが高度に様式化されているのが、本書の大きな特徴です。

 天地のある"絵"でも、マンダラ・対称形等の模様でも、モチーフの形状を変形せずに描いていますので、線画の形式が異なっても、同じ世界を描いていることが分かるのです。

 『ひみつの花園』等著者の他の作品も同じ原理で構成されているのだと思いますが、海をテーマに実行したという点が本書のスゴいところでしょう。

 海のモチーフの大々的な様式化を行った例は草花に比べて少ないので、1冊の画集を描き上げるには、『ひみつの花園』以上の労力と創造性を要したと考えられます。

 この種の、『一部モチーフの様式化によって洗練された作品を送り出す』ことに成功した偉大な芸術家と言えば、真っ先に尾形光琳の名が浮かびます。有名な『紅白梅図屏風』(MOA美術館)のど真ん中を占める、大胆な流水の表現が好例ですね~。

 閑話休題

 ともかく、ここまでの要旨は「バスフォード女史は、海中の世界を表現する"バスフォード様式"を確立させ、一冊通してそれを貫いている」ということです。

 1冊の本という観点から言い直せば、本書は『珊瑚礁の海を舞台にした、バスフォード様式の線画集』という印象を受けます。単純に海絡みの線画を寄せ集めるのではなく、1つの様式を53点に亘って貫いている為、読者は作品世界に引き込まれるのでしょう。

 この、「自分の世界に引き込める」度合いこそが完成度というものだと風雅は考えていますが、その点では著者の画力だけでなく、構成上の工夫もなされています。

 それが、"海賊の落とし物"。

 本書の多くの線画に、海賊の持ち物や財宝がそっと散りばめられています。

「海で海賊で財宝なんて、ベタ過ぎぃ!」とも思うのですが、見つけるとちょっと楽しくなるのも事実(^^; そのページを軽く攻略した気分が味わえるからかと思います(塗った時には更に深い満足感が味わえます)。

 この工夫に気づいた時は、あまりの周到さに唸らされました。作者も編集者も、いい仕事をしてくれましたね、と。

 

 願わくは、日本語版の印刷所にもいい仕事をして欲しかったのですが…。

 随所でインク移りしています(;>_<;)

 未着手のページにうっすらと付いた、隣ページのインクの痕は、素敵な本だと思っているだけに、かなりガックリきます。

 消しゴムで消せるとはいえ、「塗ってから時間が経つとまた移ってしまうのではないか?」と不安が残るのも事実。塗った後にインクが付着すると、打つ手がなさそうで💦💦

 塗り絵本ではインク移りが致命的な欠点となる以上、日本語版の版元と印刷所はもう少し神経を研ぎ澄まして欲しかった……と思わざるを得ません。

 

 気を取り直して、画材との相性についても触れておきましょう。

 油性色鉛筆、カラーペン、水彩毛筆については、どれもストレスなく塗れました。

 水彩色鉛筆も、普通程度の量の水を使う分には、大きな問題もなく使えています(ただし、多少の紙の歪みは残ります)。

 割とよく水を吸う紙、という印象でした。

 

 なお、本書にどういう塗り方が合うのかは、未だよく分かっていません。

 線画がよく出来ている為、どういう塗り方をしてもそれなりに形になりそうですが……線画の魅力を塗りで増幅するには、工夫と手間を要する気がします。

 "○色縛り"等の、テーマに振り切れた塗り方をしても合うのではないかという予感があるので、いずれ試してみたいものです(*^^*)

 

■着色例

 風雅が塗ったページを何点か載せています↓

 

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画材:水彩色鉛筆。

 

 以下は本ブログで既にごお目にかけているものを再録しました。


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画材:水彩色鉛筆。

 


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画材:水彩色鉛筆。

 

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画材:水彩色鉛筆。

 直上の2点は隣り合わせのページ同士で、フレーム部分が同じデザインです。

 風雅は別々の作品として塗りましたが、一対と捉えて同時に塗るのも面白そうですね。

 

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画材:サインペン、ボールペン(銀色)、水彩毛筆。

 

■終わりに

 締めくくりの感想コーナーです。

 

好きか★★★★★★★★☆☆

良いか★★★★★★★★☆☆

使い勝手★★★★★☆☆☆☆☆

達成感★★★★★★★★☆☆

推奨度★★★★★★☆☆☆☆

 

 こんなに長文のレビューを書いておきながら、オススメ度が6つに留まるのは、インク移り以上に線画の迫力のせいです(笑)

 本書は、映画に例えれば、名画の系譜に属するものです。多少の取っ付きにくさは否めませんし、時間もかかりますので、可愛くて手軽に塗れる本をお求めの方には不向きだと思われます。

 

 それにしても、今回のレビューは長くなりました。なるべく明解な言葉使いを心がけたつもりですが、読みにくいところがあったらご寛恕ください。

 ここまでおつきあい頂き、ありがとうございました。次のレビューも素人なりに真剣に書きますので、よかったらまた読みに来てやって下さい(*^^*)

 それでは、今回はこのあたりで(*^ー^)ノ

『海の楽園』完成作品ギャラリー⑤

 こんばんは(*^^*)
 今年の夏もゆるゆる終わりが見えてきたところですね。
 夏の間塗ったものをあまり記事にまとめていないことに気づきました💦💦
 という訳で、今回はレビューをお休みして、『海の楽園』で最近塗ったページをお目にかけたいと思います。

■金魚に似た魚のページ

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 海にもこういう金魚っぽいフォルムの魚がいるのですかね~♪
 このページは、🎉エスニック🎊をテーマに配色しました。本書にも少し慣れてきて、少々変わった塗り方をしたいと思い始めた頃のことです。
 そんな訳で、以前愛用していたペイズリー柄のヨガパンツを思い出しながら、メインの2色を赤紫と緑に決めました。

 画材は、水彩色鉛筆です。
 補色っぽい組み合わせで強烈ですが、2つとも好きな色なので、ウキウキ気分で塗りました(^o^)

 
■横に広がる珊瑚のページ

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 こちらも水彩色鉛筆で塗りました。
見開き画像だと分かりにくいので、左右のページを分けて載せてみます↓

(左)

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(右)

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 このページは、線画のデザイン性を強調する意識で配色しました。
 塗る対象をページの真ん中のみにして大きな余白を取る構図は、ちょっと斬新に感じます(笑)
 珊瑚も海藻も目立つ色を使った為、余白はあえて余白として手を着けずに完成としました。


■波と海藻のマンダラのページ

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 チマチマと少しずつ塗り進め、ようやく今日完成したページです♪
 ペンを使っています。
 主力は『プレイカラーK』という銘柄のサインペンですが、波の部分は『彩』という水彩毛筆を使用し様でました。
 
 以上、今夏の新作3点をお目にかけました。
 次回は塗り絵本のレビューに戻る予定です。よかったら、次もお付きあい下さい(^人^)
 それでは、今日はこのあたりで。



今週のお題「#平成最後の夏」

【夏のレビュー企画】『心ときめく四季のワルツ』

 こんばんは(*^^*)
 今回は7月に出たばかりのポストカードブック型塗り絵本、『心ときめく四季のワルツ』を取り上げます。
 既に多くの塗り絵好きが手に取り、レビューを挙げているこの本。当ブログでレビューする意味はあるのか、やや疑問もありますが(笑)
 お持ちの方は、ご自身の感じ方と比べながら読んで頂ければ嬉しいです。

■基本的なこと

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著者:江種 鹿乃
発行日:2018年8月1日
 ※7月発売
発行元:ナツメ社

◇特色◇

・片面印刷
・インデックスなし
・付録なし
・塗り方ガイドなし
・着色見本あり ※5点
・ジャンル:風俗画系

 ポストカード形式の為、裏面(ハガキとして見れば表側)にワンポイントイラストが入っています。
 画面の寸法は、通常のハガキサイズの他に、その2倍サイズのものと1/2サイズのものがあります。

■出会いと付き合い

 発売前から気になっていました。
 その少し前に同じ著者の『幸せのメヌエット』を手に入れたので、「急ぐことはないかな」と考えていたのですが…現物を書店で見た瞬間、「ヤバい、可愛い、欲しい!」と翻意(笑) レジへ走りました。
 それが、7月10日のこと。
 以来、水彩色鉛筆か油性色鉛筆で、気が向いたページから攻略しています。

 1点完成までにかかる時間が通常の塗り絵本に比べて短く、途中で投げ出す可能性が低くて気安く塗り進めています。

■ズバリ、どんな塗り絵か

 本書の線画は、可愛い動物たちが登場するイラストが多くを占めています。
 線は黒。平均的な太さです。
 動物はアヒル、ウサギ、猫といったメジャーどころが多く、イグアナやナマケモノといった変わり種はいません。
 絵柄は様々ですが、下のように、デフォルメの少ない丁寧な画風で描かれています。

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 動物の表情が豊かな点が最大の魅力かな、と思います。
 タイトルに『四季』という単語があるように、季節感が画中に表されているのも1つの特色ですね。
 また、本書の後半には、陰影を表す線がふんだんに描き込まれたタイプの線画が収録されています。

 ところで、ポストカードサイズという規模について、書店で見た時は、
 「今まで江種さんの塗り絵本はとても難しくて仕上げるのが大変だったけれど、このサイズならやり易いかも~♪」
と想像していました。
 ただ、実際に塗ってみると、「江種ワールドを味わうには、葉書サイズだと少し物足りないなぁ」と感じました。画面が小さいと奥行のある構図は取りにくい為、平面的な絵に見えてしまうのです。
 平面的でも可愛いことは可愛いのですが、通常サイズの塗り絵と比べると、物語性が不足してしまい、印象が弱くなる気がしました。
 2倍サイズのカードの場合は、そのあたりの弱点が大分解消され、絵柄の充実感が増します。
 一方で、通常の塗り絵本より早く仕上げられるので、この著者の絵で"いいとこ取り"ができる適正サイズは、ハガキ2枚分サイズだと感じています。
 
 ではポストカード形式の何が有りがたいかといえば、片面印刷になったお蔭で、画材の選択肢が広がること(断言)。
 水彩絵の具や水彩色鉛筆といった、両面印刷では裏に滲まないか戦々恐々と使っていた画材が、切り離して思いのままに使えるのです。
 かねてから「江種さんの線画は水彩色鉛筆も合いそう」と思っていたので、刊行情報を聞き付けた時から喜んでおりました。
 実際、水彩色鉛筆の使い心地は、期待通り良好です(*^^*)
 水を使うと普通程度に紙がたわみますが、白紙でくるんで大型本に挟んでおくことで、ある程度緩和できました。
 水彩絵の具での使い心地は持っていないので、よく分かりません(^^;

 その他の画材では油性色鉛筆しか使っていないのですが、こちらも塗り易かったと記憶しています。

 紙は、ポストカードということもあり、普通の塗り絵本よりしっかりしています。ただ、葉書用の紙としては多少軟らかめかもしれません。
 裏面に宛名を書いて実際に絵ハガキとして送るには、もう少し耐久性が欲しいところだと感じました。

 本書の構成で面白い点は、巻頭に「読者の塗り絵作品集」と称して、5人の方の着色例が出ているところかと思います。
 "お手本"といえば、著者自身の着色例を載せるのが常道かと思いますが、上手過ぎたり個性が際立っていたりして、"真似が出来ないお手本"になってしまうことも、ままある話(笑)
 少し考察すると、塗り絵は、線画を描く人と塗る人が別人であるのが大前提です。つまり、他人が描いた絵を見て解釈して色を着けるというプロセスを経たものが塗り絵の作品と言えます。
 線画の描き手自身が着色した場合、線画と着色が1枚の青写真に基づいてなされ得る為、完成度は非常に高くなっても、既に"塗り絵"ではありません。
 その点、別の人が完成させた作品は、塗り絵の範疇に収まり、客観的な観察ができる対象にもなります。
 そう考えると、著者より読者の着色例が参考になるのは、必然だった訳ですね~。「編集者さんGJ!」と言わざるを得ません。
 欲を言えば、もう少し難しめの線画にこの貴重な"お手本"を着けてもらいたかったな、とも思います。
 物が多い室内風景とか大勢の動物が登場する場面とか、上手な人の技量を目の当たりにして学びたいものですよね。

■作品例
 前章で読者のお手本に触れた後では、申し訳ない出来ですが……本章は風雅が塗ったものを載せます(^^;

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画材:水彩色鉛筆(背景)、油性色鉛筆。
 ※重ねずに使用。


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画材:油性色鉛筆。


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画材:水彩色鉛筆。
前章で言及した「陰影の線がびっしり入った線画」の一例です。

■終わりに
 さて、締めくくりは恒例の感想コーナーです。

好きか★★★★★★★☆☆☆
良いか★★★★★★☆☆☆☆
使い勝手★★★★★★★☆☆☆
達成感★★★★★☆☆☆☆☆
推奨度★★★★★★★☆☆☆

 夏のレビュー開始後初めて、全体的に評価の高い本が現れましたね(笑)

 次回も塗り絵本レビューになる予定ですが、最近塗ったものをまとめたいので、別の記事が割り込んでくるかもしれません。
 それでは、今回はこのあたりで。

【夏のレビュー企画】『世界の美しい文様ぬり絵 アラベスク文様』

 こんにちは♪

 今回も夏のレビュー企画の続きです。

『世界の美しい文様ぬり絵 アラベスク文様』(パイインターナショナル)を取り上げたいと思います(*^^*)

 

■基本的なこと

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発行日:2016年8月19日

 ※著者名記載なし

 

◇特色◇

・両面印刷

・塗り方ガイドなし

・付録なし

・インデックスなし

・作品数:80点

・ジャンル:模様系

 

■出会いと付き合い

 昨年の初冬、行きつけの書店で一目惚れして買いました。ちょうど塗り絵ブームが下火になって、売場が縮小され始めた頃のことです。初心者には細かすぎる、と自覚しつつも、「欲しくなった時には手に入らなくなっていそう」と思って決めました。

 線画の優美さに惹かれての購入だった為、時々取り出しては、塗りかけを進めたり、パラパラと未着手のページを眺めてうっとりしたりしています。

 同時進行で2~3ページ抱えているのですが、あまりに細かい為、一度に何時間も塗っていられません。集中し始める前に疲れて中断…という日がほとんど。

 なお、本書を開いている時は、アラベスク文様が描かれた寺院や宮殿を妄想していることが多いと、最近自覚しました(笑)

 西洋史と建築と美術が大好きなので、アラベスク文様塗り絵は妄想の世界に入り込む鍵みたいなものかもしれません。

 ……言葉にすると軽く変態めいていますね。こんな楽しみ方をしている人間もいるということで、生温かく見守って頂ければ幸いです(^^;

 

■ズバリ、どんな塗り絵か

 さて、肝心の中身について、まずは塗りかけページの画像をどうぞ↓

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 題名の通り、アラベスク文様が様々に描かれています。

 ちなみに、アラベスク文様とは、ざっくり言うと、唐草文です。狭い意味では、イスラム文化の影響を受けて16~17世紀にヨーロッパで隆盛した、つる草または曲線の文様を指します(参考画像↓)。

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 建築や装飾写本、工芸品などに幅広く見られる為、多くの人は「見れば分かる」程度に知っているはず。しかし、「描いてみて!」と言われると、戸惑うのではないでしょうか?

 少なくとも風雅にとっては、アラベスク文様は「識別できるけれど再現できない」状態でした。「薔薇」「鬱」といった、読めるのに書けない漢字のようですね。

 これは、文様の構成要素が何となくイメージできる一方で、構造がよく分かっていない為でした。アラベスク文様を微細に観察し、それを帰納する経験が不足していたのです。

 本書は、まさにその経験を得られる場となりました。

実際、配色の為に線画の構成に目を向けることになりますし、塗りながら、模様がどうなっているのか、なぞって理解できる一面もあります。

  線画の中のつる草をたどっていくと、2つに分かれたり、花のモチーフに連結したり、と様々に変化しつつ続いていくのが見て取れます。改めて、アラベスク文様のキモがつる草(もしくはつる草状の曲線)であることが実感できました。

  文様好きには堪らないひと時が過ごせる塗り絵本だと思います。

 

 …と、"アラベスク天国"な本書ですが、大きな注意点があります。

 細かいのです。時には、尋常でなく。

0.38のボールペンでもはみ出すパーツとか、「印刷の超絶技巧を見せつけたくて作ったの?」と訊きたくなりました(^^;

 本書の序文に「作品を完成させることで、(中略)前向きでリラックスした気分になれたりするでしょう」と誇らしげに書いてありますが、制作中は逆に気の抜けない局面ばかりのような気が……💦💦

 さらに、もう1点。

 本書の作品同士が相互に似ています。

 その理由として、

①モチーフの配置パターンが類似

②一部のモチーフが複数のページで重複

という2点が目につきます。

 もう少し線画の多様性を増すとか、収録作品数を抑える代わりに紙質を上げるとか、付録を付けるとか、1冊を通して楽しませる工夫はなかったのかな、と感じました。 

 

 なお、線画における線は、黒。概ね均一で、かなり細い線となっています。

 私見では、アラベスクのような文様は、1本の線の上でも太さが変わるほうが美しく見えると思うのですが、ぬり絵としては太さ均一でもいいのかもしれません。

 紙は少し硬めな印象を受けました。 

 また、ノドの部分ギリギリまで図案が広がっているページもある割に、開きにくいという難点がありました。

 

 本書は、線画(の細かさ)によって合う画材が異なってくると思います。

 一部の線画の非常に細かい部分では、色鉛筆どころか、極細のサインペンやボールペンでも無理では、と感じました。

「縫い針の先にインクを浸ければ塗れるかな」と思い立ったものの、実行する気になれず。悩ましいところです。

 なお、コアな体験談ですが、手持ちの硬~い水彩色鉛筆(カランダッシュのプリズマロ)では、乾いた状態で塗っている時に「塗りにくい」と感じました。紙に画材が馴染まず、拒まれるような感覚です。

 もしかするとやや気難しい紙質で、色鉛筆などは相性の良し悪しがあるのかもしれないと思いました。

 サインペンは、風雅が使ってみた限りでは、裏に滲まず、綺麗に発色しました。

■作品例

 風雅は、さほど細かくないページから塗っています。その為、ここに挙げた作品例は、本書の中では細かくない部類の作品ばかりです(^o^;)

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 本書で恐らく最も柄が大きい線画。

葉っぱの中の色が濃い部分だけ乾いた水彩色鉛筆で塗り、他は油性色鉛筆で塗りました。


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本書で最初に塗った線画です。

画材は油性色鉛筆。

 

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画材は、水彩色鉛筆。


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奥付ページのワンポイント塗り絵です。

細い線だけサインペンを使い、他の部分は油性色鉛筆で着色しました。

 

■終わりに

 最後は、恒例の感想コーナーで締めくくりたいと思います(*^^*)

好きか★★★★★★★★★☆

良いか★★★★☆☆☆☆☆☆

使い勝手★★★☆☆☆☆☆☆☆

達成感★★★★★★★★☆☆

推奨度★★★☆☆☆☆☆☆☆

 これは、「塗り絵本として使い心地に思うところは色々あるけれど、とにかく好き❤」という意味になります。

 「オススメ?」と訊かれた場合、余程の文様マニア以外の方は、書店で現物を見てみることをお勧めします(およそ万人受けはしない本かと思うので💦💦)。

 今回は、けっこう長くなってしまいましたね。ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

 

【参考文献】

海野弘『ヨーロッパの装飾と文様』2013年、パイインターナショナル

【夏のレビュー企画】"Nice Little Town 2"

 こんにちは♪
 8月に入っても猛暑が続きますね。
 当ブログのレビュー企画も続きます。今回は、手持ちのうち唯一の洋書である、"Nice Little Town 2"を取り上げてみたいと思います。

■基本的なこと

著者:Tanya Bogema (Stolova)
発行年:2017年

 発行場所の記載がないものの、米国で印刷されたと書いてあるので、米国で出た本だと考えられます。

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◇特色◇
・片面印刷
・塗り方ガイドなし
・付録:テーマ外の塗り絵10ページ
・ジャンル:風景画系、風俗画系
・作品数:31
・ほぼB5寸法

■出会いと付き合い

 Amazonで、他の買い物のついでに買いました。現時点で、現物を見ずに塗り絵本を買ったのは、この1冊だけです。
 買った理由は、主に3つ:
・建物の塗り絵をしてみたかった
・安かった(600~800円位)
・片面印刷

 中身や画風は、塗った方がSNSに投稿した画像で事前に見知っており、「ユルい建物の塗り絵」程度の認識でした。
 本書は、建物塗り絵のいい練習になるのではないか、と思ったのです。

 しかし、届いた本を開くと、想像以上におおらかな線画に面食らい…そのまま、数ヶ月放置。
 結局、手を着けたのは6月に入ってからでした(^o^;) 
 直前に細かい塗り絵が続いた反動か
「とにかく線の少ない絵を手がけたい!」
という衝動で始めました。
 1点塗り上がるとその願望は満たされてしまいましたので、現在は再び放置…ゴホッゴホッ、再開の機運が高まるのを待っています(笑)
 我ながら暢気に構えていますね。
 本書に漂うユル~い雰囲気が、そんな付き合い方にも合っている気がしています(*^^*)

■ズバリ、どんな塗り絵か

 ズバリ、ユルい建物のイラストです。
 題名の通り、小規模の街の風景を徹頭徹尾フリーハンドで描いています。

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 画像で雰囲気が伝わるでしょうか?
必要最低限の輪廓線と、僅かな陰影の線で描かれており、画面全体が白っぽいのが特徴です。
「大まかに構図だけ作ってあげたから、あとはあなたの好きにして(^^)d」と言わんばかりの潔さ(笑)
 これだけのスカスカな絵にもかかわらず、何となくのどかで明るい雰囲気が出ている辺り、プロは凄いですね~♪
 描線は黒色で太め。
のびやかではあるものの、デジタル画特有のギザギザ感が残ります。

 実際に塗ってみると、絵柄の単純さから想像するより難しく感じました(^^;
 その一因は、質感を表す線が殆ど入っていないせいかな、と思います。
 例えば、道の舗装は石畳かタイルか。
 植木鉢は陶器かプラスチックか。
 輪廓だけ描いてあるので、自分で考えられる半面、その材質らしさを自分の技術で出す必要が生じます。
 そういった意味で、単に丁寧に色を塗れば見映えのする作品が出来る類の本ではなさそうですね(^o^;)

■作品例

 既述の通り、まだ1点しか完成させていない為、今回は1点だけ披露します↓

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 画材は水彩色鉛筆。

■終わりに

 最後に、恒例の感想コーナーです。

・好きか ★★★★★★☆☆☆☆
・良いか ★★★★★☆☆☆☆☆
・使い勝手★★★★★☆☆☆☆☆
・達成感 ★★★★★★★☆☆☆
・推奨度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆

 上の★評価をまとめると、「好きだし、塗れば達成感もあると思うけれど、人にオススメとは言えない」という意味になります。
 本書については、風雅自身の評価も定まりきっていないので、今は「こんな本もありますよ~」的なレポートにとどめておきたいと思います。

 それでは、今回はこの辺りで。
よかったら次回もおつきあいください。

【夏のレビュー企画】『"かわいい"の魔法にかかる夢色プリンセス塗り絵』

 こんにちは~♪
夏のレビュー企画第2回は、たけいみきさんの『"かわいい"の魔法にかかる夢色プリンセス塗り絵』(河出書房新社)について書いてみたいと思います。

■基本的なこと

『"かわいい"の魔法にかかる夢色プリンセス塗り絵』


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著者:たけいみき
初版発行日:2016年11月30日

◇特色◇

・両面刷り
・塗り方ガイドあり ※6ページ分
 インデックスなし
・付録:ミニカード型の塗り絵
・作品のジャンル:主に童話系
・作品数:44

 なお、作品数は風雅自身で数えたものです。見開きで1点と見なすか左右別々の作品と見なすか、解釈が分かれそうなページもありましたので、目安程度に参考にして下さい。

■出会いと付き合い

 塗り絵を始めた時、最初に買った塗り絵本です。
書店で様々な本を比較検討した後に、購入しました。
 選んだ理由は、主に3つ:
・童話ネタ →配色をイメージしやすい
・塗る対象が多岐にわたる →飽きない
・細かくない絵柄 →塗りやすそう
…とにかく、取っつき易さ重視でした。
かつ、人物・動物・小物など様々な物を塗ることで、自分の得手不得手や興味も明確になるだろうという狙いがありました。
 実際に塗り始めても、初期から手を着けやすかったと記憶しています。

 ページごとに対象物も雰囲気も異なる為、現在、この本については概ね次の方針で進めています:
 ・好みの線画→出来る限り素敵に仕上げる
 ・好みでない線画→新しい画材や技法を試す

 つまり、風雅個人にとっては、『気軽に塗れる本』という位置づけになるかと思います(*^^*)
 
■ズバリ、どんな塗り絵か

 作者のたけいみきさんは人気のあるイラストレーターなので、ご存じの方も多いと思います。
 人物は端整で可愛いらしく、西洋のお姫様でも割と東洋的な顔立ちをしています。
 各線画は、たけいさんワールド全開というべき、独特の雰囲気があります。ハート❤やキラキラ✨が多くて、フリルやリボンに満ちている世界。
 「夢のある…」と言われそうな画風ですが、ファンシー系の可愛さが苦手な向きには、ちょっと好みに合わないかも(^^;
 かく言う風雅自身も、線画を見て
「これはスウィート過ぎでは(^o^;)?」
と困惑することがけっこうあります。

 内容に関してもう1点特筆するべきは、後半に十二星座をテーマにした連作が描かれていることです。思い入れをもって塗れるよう、工夫が見えますね。
 星座シリーズもかなりファンシーですが、蟹座や蠍座水瓶座など、珍しいモチーフなので、楽しく塗れました♪

 前節でも述べたとおり、本書で塗るものの種類は、人物・動物・花・果物・衣服・小物・宝石・調度品など、多岐にわたります。
 大きな特徴としては、王子さまも含めて、成人男性は出てきません!
 例えば、最初の線画を開くと、眠れる美女を優しく見守るのは、なんとお馬さんですw

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 王子さまの馬?将を射んと欲すればすなわちその馬を射よ、なる格言もありますが、馬に王子の代理を求めるのは大胆過ぎる気も(^^; 

 また、プリンセス塗り絵と銘打っていますが、けっこう庶民女子も幅をきかせています。
 偽装表示?看板に偽りアリ?
 そう思いましたが、緒言に作者のモットーが書かれていました。
曰く、『すべての女の子はお姫様』と。
 「…ハア、そうですか」
としか言葉が出てきませんが、この定義なら、庶民の女の子がゾロゾロいても理に敵っていますね。
 所謂"おひめさまぬり絵"的なものを想像していると、ちょっとした肩透かし感を覚えると思います。

 線画のあり方は、現実感よりテーマを重視したイラスト、という印象です。
 絵画ほど厳密な遠近感や立体感が線画にない為、遠近法や陰影を意識し過ぎずに塗れます。
 書店で「この本なら初心者でもいけそうp(^^)q」と思えたのは、恐らくその点に由来するのかな、と今は思います。

 その半面、描線が抜けていたり、構図が不自然に見えたりする箇所もあり、線画の完成度には疑問が残りました。

ちなみに、本書の描線は黒く、かなり細めです。デジタル画像に特徴的なギザギザ感が、人によっては気になるかも(^^;

 画材については、巻頭の塗り方ガイドにて、色鉛筆主体で補助的にメタリックペンを使う方法が紹介されています。
 風雅もメタリックのペンを試してみましたが、あまり活用できた気がしません。センスが要求される印象でした。
 紙は、ケント紙に似た手触りをしていますが、あまりよく分かりません。
 油性色鉛筆、水彩色鉛筆、サインペンで塗れますが、水彩色鉛筆で水をふんだんに使うと、乾いてもたわみます。その状態で裏面にサインペンを使った時は、危うく滲みそうになりました。
 どうやら、両面とも紙に負担がかかる塗り方は控えたほうが無難そうです。


■塗ってみた例

 ここで、本書の着色例を挙げておきます(風雅が塗ったものばかりであまり参考にならないかもしれませんが…)。

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かぐや姫(部分)。
画材:水彩色鉛筆。

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ラプンツェル(部分)。
画材:油性色鉛筆。

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蠍座
画材:水彩色鉛筆。

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付録のミニカード。
画材:油性色鉛筆。

■おわりに

 今回も、まとめ代わりの簡単な感想コーナーで締め括って参ります。

・好きか★★★★☆☆☆☆☆☆「やや敬遠」
・良いか★★★★★☆☆☆☆☆「普通」
・使い勝手★★★★★☆☆☆☆☆「普通」
・達成感★★★★★★★☆☆☆「割とある」
・推奨度★★★★★★★☆☆☆

 好きでもないのに人に薦めるのか、とツッコミが入りそうですね(^^;
 ただ、色々なものが塗れるとか、手を着けやすいという価値は確実にあると感じているので、その種のメリットを求める方には自信をもってお薦めと言えます(^ー^)

 やや敬遠気味の線画を風雅がどのように楽しんでいるのかは、いずれ当ブログで取り上げる機会もあるかと思います。
 まだしばらくは暑さとレビューが続きますが、よかったらまたお付き合いください。
 それでは、また(*^ー^)ノ♪

【夏のレビュー企画】『心を整える、花々のマンダラぬりえ』

 こんにちは~。
 今日から、前回の予告通り、連続・塗り絵本レビュー企画をお届けしたいと思います。
 どんな順番で書こうか…と少し迷った結果、レビューや作例の少ない本から書くことにしました。
 という訳で、今日は掲題の本『心を整える、花々のマンダラぬりえ』について書きます。

■基本的なこと

 
原書"Flower Mandalas"は2015年に英国で上梓されました(と、奥付けに書いてある)。
 本記事で取り上げるのは、その日本語版になります。

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『心を整える花々のマンダラぬりえ』
著者:シンシア・エマリー
発行元:日本文芸社
初版発行日:2016年2月29日

◇特色◇
・片面印刷
・塗り方ガイドあり ※7ページ
・インデックスあり
・付録なし
・作品数:40
・作品のジャンル:模様系

 私が持っている本は2017年5月発行の第9版なので、日本でもそれなりに売れたのかもしれません。

■出会いと付き合い

 本書のことは、新宿駅近くの某大型老舗書店の売り場で知りました。
 その場で一目惚れして即レジへ…という訳ではなく、迷った挙げ句に買いました。
 購入の決め手は、片面印刷という一事に尽きます。
 水彩色鉛筆や万年筆インクを気がねなく水で溶いて使う際に裏抜けを気にしないで済むので、すべての塗り絵本が片面印刷だったらいいのに…と思う程、私は片面印刷推奨派です(^^;

 絵柄については、「反発なく塗れるけれども、熱狂的に好きになることはない」程度の評価で、これは現在でもあまり変わりません。

 しかし、40点の線画すべてがマンダラ様という事実には、「飽きっぽい私では早々に投げ出すかも…」という不安が拭えませんでした(購入を迷った理由も、そこにありました)。
 
 馴染みのない方向けに一応説明すると、塗り絵本に出てくる「マンダラ」とは、同心円状の対称形に事物や描線を配置した図案の形式と言えるようです。
 ポイントは、「円形」かつ「対称」であること。
 よって必然的に、画面の中心以外に描かれるパーツは、最少でも同じ物が左右に1個ずつ存在します。
 このような形状の線画に着彩する場合、左右ほぼ同じ絵柄を塗ることになります。
 飽きるのでは…と心配したのは、そういう理由でした。

 結論から言うと、実際に本書に手を出してから、購入前の不安は半分だけ当たりました。
 そう、マンダラは飽きます(当社比)。
 そこで、外出時に携行し、ちょっとした空き時間に進めるようにしました。5分10分といった短い待ち時間など、飽きる前に中断するパターンが最適な気がします。
 ちなみに、風雅の場合、この進め方で、作品1点につき2週間~1カ月程度かかっています。

■ずばり、どんな塗り絵か

 さて、肝心の中身はどんなものか、が気になるところですね。まずは、塗りかけのページの写真をどうぞ↓。

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 このように、直線・曲線・円といった抽象的な線の枠組みに、花や枝葉といった植物を対称的にあしらったものが、どのページにも描かれています。
 10人中8人が好感を抱きそうな、その代わりに熱狂的なファンも少なそうな、アクの少ない画風ですね。塗り絵向きな気がします♪
 描線は黒く、太さは0.5~1mm程度。
 本書の線画は見事に『塗り絵仕様』になっていて、描線に曖昧なところが殆どありません。塗っている最中に「これはどのパーツなのかな」とか「前後の位置関係が矛盾してないか?」とか惑わずに済むのは有り難い限りです。
 多少の立体感はあるものの具体的ではなく、象徴的な図案に仕上がっています。

 次に、好相性の画材についてですが。
 まず、巻頭の塗り方指南の中で、色鉛筆やペンなど、先の細い画材が適している旨が明記されています。
 実際に風雅が試した限りでは、油性色鉛筆・サインペン(トンボ社のプレイカラーK)・水彩色鉛筆が快適に使えました。水彩色鉛筆の場合は、乾いた芯先で塗ってから水を含んだ筆でなぞる使い方で試しています。
 万年筆やそのインクもよく発色しますが、下のページに移る危険性が高いので、下に要らない冊子を敷く等の対策をしたほうがいいかもしれません。

 本書にどんな塗り方が合うのかは、あまり真剣に考えた事がありません(^^;
 時々、Instagramで同系色の濃淡で美しく仕上げた作品を見かけるので、同系色は1つの成功パターンかと思います。

 風雅の場合は、外出中に塗る為、構えずに、ほぼベタ塗りで進めています。
 配色は行き当たりばったりですが、意外な2~3色の組合せを試してみるケースが多いかもしれません。線画がしっかりしているお蔭で、こんな適当なやり方でも塗れば意外と収まりが着きます(笑)

 そう考えると、割と懐の深い塗り絵帳なのかもしれませんね~♪

■作品例
 
 実際に塗った例として、これまで塗ったページを何点かお目にかけたいと思います。
 

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画材:色鉛筆とカラーペン(重ねない塗り)

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画材:油性色鉛筆

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画材:油性色鉛筆

 3つ目の作品は本書で最初に塗ったもので、開始後しばらくグラデーションなどに挑んだ名残が、花の色などに見られます(^^; なお、想像つくと思いますが早々に飽きてしまい、凝った塗り方は頓挫しました。

■おわりに

 ここまで本書の中身と風雅の体験談をご紹介してきました。レビューの終わりに、風雅個人の感想を簡単に付け加えておきます。

・好きか ★★★★★☆☆☆☆☆「普通」
・良いか ★★★★★★★☆☆☆「良い」
・使い勝手★★★★★★★★☆☆
・達成感 ★★★★★☆☆☆☆☆「普通」
・推奨度 ★★★★★★☆☆☆☆

 推奨度、つまりお薦め出来るか否かは、「人によってはオススメ」程度です。どういう人にか、と言いますと、「何も考えずに、枠線の中を塗っていけば良い作品になる塗り絵がしたい」という方。
風雅自身の経験で、『考える』行為そのものを一度止めたいのに止められない…という時に本書を塗った事があり、うまくリセットできました。以来、本書の実際的な効用とはそういう部分にあるのかな…と感じています。

 以上、初めての塗り絵帳レビューをしてみたのですが、いかがでしたでしょうか?
 次回もまた別の本のレビューをお届けする予定です。よろしければまたお付き合いください。
 それでは、今日はこの辺りで(^o^)/