塗り絵をめぐる冒険

いち美術ファンによる、「目指せ、塗り絵上手!」な試行錯誤あれこれ。

【夏のレビュー企画】『心ときめく四季のワルツ』

 こんばんは(*^^*)
 今回は7月に出たばかりのポストカードブック型塗り絵本、『心ときめく四季のワルツ』を取り上げます。
 既に多くの塗り絵好きが手に取り、レビューを挙げているこの本。当ブログでレビューする意味はあるのか、やや疑問もありますが(笑)
 お持ちの方は、ご自身の感じ方と比べながら読んで頂ければ嬉しいです。

■基本的なこと

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著者:江種 鹿乃
発行日:2018年8月1日
 ※7月発売
発行元:ナツメ社

◇特色◇

・片面印刷
・インデックスなし
・付録なし
・塗り方ガイドなし
・着色見本あり ※5点
・ジャンル:風俗画系

 ポストカード形式の為、裏面(ハガキとして見れば表側)にワンポイントイラストが入っています。
 画面の寸法は、通常のハガキサイズの他に、その2倍サイズのものと1/2サイズのものがあります。

■出会いと付き合い

 発売前から気になっていました。
 その少し前に同じ著者の『幸せのメヌエット』を手に入れたので、「急ぐことはないかな」と考えていたのですが…現物を書店で見た瞬間、「ヤバい、可愛い、欲しい!」と翻意(笑) レジへ走りました。
 それが、7月10日のこと。
 以来、水彩色鉛筆か油性色鉛筆で、気が向いたページから攻略しています。

 1点完成までにかかる時間が通常の塗り絵本に比べて短く、途中で投げ出す可能性が低くて気安く塗り進めています。

■ズバリ、どんな塗り絵か

 本書の線画は、可愛い動物たちが登場するイラストが多くを占めています。
 線は黒。平均的な太さです。
 動物はアヒル、ウサギ、猫といったメジャーどころが多く、イグアナやナマケモノといった変わり種はいません。
 絵柄は様々ですが、下のように、デフォルメの少ない丁寧な画風で描かれています。

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 動物の表情が豊かな点が最大の魅力かな、と思います。
 タイトルに『四季』という単語があるように、季節感が画中に表されているのも1つの特色ですね。
 また、本書の後半には、陰影を表す線がふんだんに描き込まれたタイプの線画が収録されています。

 ところで、ポストカードサイズという規模について、書店で見た時は、
 「今まで江種さんの塗り絵本はとても難しくて仕上げるのが大変だったけれど、このサイズならやり易いかも~♪」
と想像していました。
 ただ、実際に塗ってみると、「江種ワールドを味わうには、葉書サイズだと少し物足りないなぁ」と感じました。画面が小さいと奥行のある構図は取りにくい為、平面的な絵に見えてしまうのです。
 平面的でも可愛いことは可愛いのですが、通常サイズの塗り絵と比べると、物語性が不足してしまい、印象が弱くなる気がしました。
 2倍サイズのカードの場合は、そのあたりの弱点が大分解消され、絵柄の充実感が増します。
 一方で、通常の塗り絵本より早く仕上げられるので、この著者の絵で"いいとこ取り"ができる適正サイズは、ハガキ2枚分サイズだと感じています。
 
 ではポストカード形式の何が有りがたいかといえば、片面印刷になったお蔭で、画材の選択肢が広がること(断言)。
 水彩絵の具や水彩色鉛筆といった、両面印刷では裏に滲まないか戦々恐々と使っていた画材が、切り離して思いのままに使えるのです。
 かねてから「江種さんの線画は水彩色鉛筆も合いそう」と思っていたので、刊行情報を聞き付けた時から喜んでおりました。
 実際、水彩色鉛筆の使い心地は、期待通り良好です(*^^*)
 水を使うと普通程度に紙がたわみますが、白紙でくるんで大型本に挟んでおくことで、ある程度緩和できました。
 水彩絵の具での使い心地は持っていないので、よく分かりません(^^;

 その他の画材では油性色鉛筆しか使っていないのですが、こちらも塗り易かったと記憶しています。

 紙は、ポストカードということもあり、普通の塗り絵本よりしっかりしています。ただ、葉書用の紙としては多少軟らかめかもしれません。
 裏面に宛名を書いて実際に絵ハガキとして送るには、もう少し耐久性が欲しいところだと感じました。

 本書の構成で面白い点は、巻頭に「読者の塗り絵作品集」と称して、5人の方の着色例が出ているところかと思います。
 "お手本"といえば、著者自身の着色例を載せるのが常道かと思いますが、上手過ぎたり個性が際立っていたりして、"真似が出来ないお手本"になってしまうことも、ままある話(笑)
 少し考察すると、塗り絵は、線画を描く人と塗る人が別人であるのが大前提です。つまり、他人が描いた絵を見て解釈して色を着けるというプロセスを経たものが塗り絵の作品と言えます。
 線画の描き手自身が着色した場合、線画と着色が1枚の青写真に基づいてなされ得る為、完成度は非常に高くなっても、既に"塗り絵"ではありません。
 その点、別の人が完成させた作品は、塗り絵の範疇に収まり、客観的な観察ができる対象にもなります。
 そう考えると、著者より読者の着色例が参考になるのは、必然だった訳ですね~。「編集者さんGJ!」と言わざるを得ません。
 欲を言えば、もう少し難しめの線画にこの貴重な"お手本"を着けてもらいたかったな、とも思います。
 物が多い室内風景とか大勢の動物が登場する場面とか、上手な人の技量を目の当たりにして学びたいものですよね。

■作品例
 前章で読者のお手本に触れた後では、申し訳ない出来ですが……本章は風雅が塗ったものを載せます(^^;

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画材:水彩色鉛筆(背景)、油性色鉛筆。
 ※重ねずに使用。


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画材:油性色鉛筆。


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画材:水彩色鉛筆。
前章で言及した「陰影の線がびっしり入った線画」の一例です。

■終わりに
 さて、締めくくりは恒例の感想コーナーです。

好きか★★★★★★★☆☆☆
良いか★★★★★★☆☆☆☆
使い勝手★★★★★★★☆☆☆
達成感★★★★★☆☆☆☆☆
推奨度★★★★★★★☆☆☆

 夏のレビュー開始後初めて、全体的に評価の高い本が現れましたね(笑)

 次回も塗り絵本レビューになる予定ですが、最近塗ったものをまとめたいので、別の記事が割り込んでくるかもしれません。
 それでは、今回はこのあたりで。