塗り絵をめぐる冒険

いち美術ファンによる、「目指せ、塗り絵上手!」な試行錯誤あれこれ。まったり気ままな塗り絵ブログ。

秋の物欲祭り〜新着画材と塗り絵本と資料本〜

 こんにちは、風雅です。

 ハイテンションな題名の通り、物欲が弾け飛んで色々入手しちゃったよーという報告になります。

 単にモノを紹介してもつまらないので、出来るだけ使用例を一緒に載せていくつもりです。ちなみに本記事に掲載した拙作は、特に記載がなければ10/20〜10/26に完成した新作となります。

 それでは、早速参りましょう(^^)/

 

■新着の塗り絵本

 新着の塗り絵本は3冊あります:

・石村 和代『四季の和柄と花景色 ぬり絵ブック』,2019年,パイインターナショナル.

・三村 晴子『マンダラコロリアージュ』,2018年、成美堂出版.

・黒イ森『ヴィクトリアン幻想図鑑 黒イ森ぬり絵ブック』,2022年,パイインターナショナル.

 

 1つめは石村和代氏の和のぬり絵ブックシリーズの1冊で、刊行順ではシリーズ3冊目に当たります。

f:id:white_fuga:20221024003633j:image

 先行する『春夏秋冬 和のぬり絵ブック』と『和の花暦と花もよう ぬり絵ブック』に続き、花や和の風物と和の文様を組み合わせた"石村節"全開の画風です。

「さすがに飽きるよね?」

と思って刊行直後に買い控えたのを覚えています。

 あれから数年、意外にも自分の塗り絵サイクルに和のぬり絵ブックシリーズが定着しました。懸念したように飽きる方向ではなく、慣れ親しむ方向に、付き合い方が移り変わっていたのです。

 それを自覚するとシリーズの別の巻にも手を伸ばしたくなります。もう一度本屋で内容を見直した上で買いました。

 早速塗った1枚は、今月凝っている手まりモチーフの作品でした☟: 

f:id:white_fuga:20221024003724j:image

画材:油性色鉛筆。

題名:「手まり詩」。

 どれだけ手まりが好きなのか……。

 そろそろ呆れられそうですが、手まりは多様な色合わせが出来て楽しい題材です♬。

 

f:id:white_fuga:20221024003643j:image

 巻頭の前書き(p.1)によると、作者が「美しい」と感じる事物をマンダラの形式に嵌めて写し取ったということです。

 その主張の通り、花や鳥などの生物、妖精や女神といった空想上の存在が、端正に描かれています。

 左右非対称な線画も少なくありません。

「マンダラに興味はあるけれど、抽象的な模様は苦手」

という方にはお誂え向きかと思います。

 加えて、巻頭に目次があり、線画の題名とページ数が明示されているのが、ブロガー目線だと地味にありがたいです(笑)。

 試しを兼ねた最初の1枚は、本書の中では抽象度の高い線画となりました☟:
f:id:white_fuga:20221024003656j:image

画材:サインペン、ボールペン、メタリックマーカー、水彩毛筆、ポスカ。

題名:「雪の結晶」(p.73).

 さほど薄い紙ではありませんが、サインペンを使うとかなり裏映りしました💧。 

 表ページでも結構滲むので、水分を媒介とする画材(水彩絵の具やサインペン)はこの紙質に慣れるまで多少困惑しそうです。

 

 黒イ森氏の『ヴィクトリアン幻想図鑑 黒イ森ぬり絵ブック』は今秋の新刊です☟:

f:id:white_fuga:20221027152132j:image

 本書では、少女が様々なモチーフと絡めて描かれています。各ページの少女が嫌味のない可愛さで、この本は人気が出そうだと思いました。

 線画はミシン目付の片面印刷、塗り方指南があり、何点かの着色見本があり、章ごとにインデックスも付く親切設計(≧▽≦)。

 紙がやや薄い気がするものの、油性色鉛筆だけ試している現段階では特に不都合を感じていません。顔彩や水彩色鉛筆だとどうなるのか、かなり気になりますが。

 なお、この本については塗り始めたばかりで、作品例が用意できていませんm(_ _)m。出来上がったタイミングで、別記事にて公開したいと思います。

 

■新着ではない初紹介の塗り絵本

 前回の記事で触れたRita Berman著の"Meine Reise durch Europa"も、ここで紹介させてください。

f:id:white_fuga:20221026181901j:image

 この見慣れない綴りの題名は、ドイツ語で『ヨーロッパ周遊、私の旅』という意味です。

 その行程たるや、ドイツの都市ケルンからイタリアを南下して地中海に船出し、ポルトガルに上陸。そこからフランスの首都パリに移り、ブリュージュアムステルダム、ロンドンと周ってスカンジナビアの深い森へと進む長期旅行!この地名の羅列だけでもワクワクする方、多いのではないでしょうか?

 著者独特の躍動感溢れる筆致も相俟って楽しい本。線画は写実主義ではなく、印象に残るモチーフをわんさか積み上げる画風です。

 実を言うと、この著者の画風には惹かれるものの、「塗りにくい」と苦手意識があって手を出さないできました。しかし、この本の表紙を見て遂に挑戦を決めた次第です。

 

 購入直後の昨年秋に、最初の1枚を制作しました☟:
f:id:white_fuga:20221024003615j:image

画材:サインペン(セーラー万年筆の「四季織」のみ).

 草花のリースです。旅行感ゼロ(笑)。

 中にはこういうページもあります。

 描線が太いので、サインペンや水彩毛筆とも相性が良い画風だと感じました。

 

■新着画材:Tri-colour Pencils

 3色芯の油性色鉛筆12本セット(クレヨラ)をプレゼントで貰いました☟:

f:id:white_fuga:20221027152314j:image

 2色以上の芯が入っている色鉛筆、正しくは何と呼ぶか分からないので、仮に複色芯色鉛筆と呼んでおきます。何を隠そう、ワタクシこの種の色鉛筆が大好きなのです(≧▽≦)

 従来2色芯を楽しんでおりますが、遂に3色芯の世界にも足を踏み入れましたよ!

 この色鉛筆、いずれも発色は少々薄め。

 それぞれグラデーションになる3色で構成されており、"galaxy"や"sunny day"といった名称が付いています。

 取り急ぎ色見本を作りました(中央に皺が寄っているのはお見逃しを…💧)☟:

f:id:white_fuga:20221027152614j:image

 この色鉛筆だけの作例はまだありませんが、前章掲載の「手まり詩」の随所で使っています。

 このセットは、予め欲しい物を問われてリクエストしたものですが、先日の"冷蔵庫故障ショック"を払拭してくれる有り難い頂き物となりました♪。

 

■新着ではない初紹介の画材:学童用色鉛筆24色セット(油性色鉛筆)

 既に使っている携行用の油性色鉛筆ですが、画像が見つかったので、併せて紹介させて下さい。

 昨年春頃、便利そうな24色セットを書店のワゴンセールで買いました☟:

f:id:white_fuga:20221024071409j:image

 メーカーは文具メーカーのレイメイです。

 店頭で試し塗りできなかったので博打でしたが、発色と使い勝手はまずまずで、悪くない買い物でした。

 国産の傾向に違わず、硬めの色鉛筆です。

 ただ文房具屋の店頭でよく見かける三菱やTombowの学童用と比べて軸が細く、その分軽いので、硬さの割に疲れにくい印象です。

 このスリム軸のもう1つの利点が、手持ちのペンケース(KOKUYOのネオクリッツ)に1セットまるまる収まること♪。

「とにかく基本の色は持って行きたい」

と思う時に、この1セットを入れておけばいいので、便利です。プラスチックケース毎持っていくこともありますが、その場合は鞄の中で勝手に開かないように、マスキングテープで封じています。

 店頭でバラ売りしていない上、別の銘柄の色鉛筆は太くてプラスチックケースに入らない可能性が高いので、使い切りとなってしまう予感。その点は残念ですが、そういう縁だと割り切って使っていこうと思います。

 ちなみに、オススメ度を訊かれたら、

「わざわざ取り寄せる程の価値はない」

と答えるでしょう。発色もまずまずですし、お買い得だったとは感じますが、個人の感想としては、唯一無二の定番として使い続ける程ではありません。

 

 そんな"お値段なり"の色鉛筆なので、このセットのみで制作した作品がこれまで1枚もない(!)。

 それも寂しいので1点塗ってみました☟:

f:id:white_fuga:20221027152351j:image

出典:紅会『美しい和のぬりえ』。

 貝合わせのモチーフです。

 「しろ」以外の23色を使おうと意識して塗ったところ、目的は達せられたものの、面白味のない仕上がりになってしまいました💧。

 この学童用色鉛筆がどんな色鉛筆なのか、本作が多少とも参考になれば幸いです。

 

■新着の資料本

 他に、鉱物・宝石の写真と知識補充の為に、飯田 孝一『世界観設定のための宝石図鑑』(2022年, 株式会社エクスナレッジ)なる本を買いました。43種類の代表的な宝石を鑑別家が紹介している書物です。

 写真と文化史的な情報が見所で、様々な宝石のイメージを膨らませたい人向けの本かと感じました。

 寝っ転がって読む分には面白く、お絵描きの参考画像にもなると思います。

 

 もっとも、文化誌としては全く網羅的でもなく、典拠の記載もなく、質量ともに物足りないと言わざるを得ません。

 例えばオパールの項には

「そこでローマの博物学者は、1つの石の中に目では見えない赤や青、緑や黄色、紫色の小さな宝石が詰まっているのだと考えた様だ」(同書p.175-176)

と記されています。この一文がもう残念で、

「このローマの博物学者の名前は?」

「彼がその考えを述べている書名は?」

「その本の第何巻何章?」

「『〜様だ』と言っているのはどこまでが博物学者の考えで、どこまでが著者の推定?」

と突っ込みどころ満載です。

 きちんと調べて書いてあるのでしょうに、記述に不足があるせいで精度が噂話レベルに留まってしまうのですよね……。

 日常会話や商用のパンフレットならばともかく、書物でその辺りを曖昧にしていると、権威のある人が活字で噂をバラまくという一番タチの悪い情報伝達になってしまいますので、これはいただけません。

 せめて、宝石を常設展示している博物館や宝石毎のもっと詳しい文献を載せておいてくれれば、最上の入門書となったと思うので、その点でも惜しい本です。

 写真の9割方は美しく、個々の宝石や原石の姿をよく伝えているものです。

 欲を言えば、各宝石毎に1〜2点は画像があっても良いかな、と感じました。オパールやダイヤモンドのように色合いに幅のある宝石については、もっと数が多くてもいいと思います。

 

 総括すると、自分の役には立っているけれど、人にはお薦めできない書物でした(完成度に疑問がある本は人に薦めない主義です)。

 

■終わりに

 以上、新着のアイテム等について語ってまいりました。

 本も画材も、別に物欲祭りでなくても増えてしまうものですが、今回は時期が重なったので1本の記事にまとめてみました。

 お楽しみ頂けたら、あるいは何かの参考になったら嬉しい限りです。

 ここまでお付き合い頂いてありがとうございました。

 それでは、また〜(^^)/