こんばんは〜。
先日来の停滞感は少しずつ和らいできたようです。気合いを要する作品の制作もぼちぼち再開しました。
さて、気合いを込めて何を塗り進めているかといえば、『平安王朝絵巻ぬりえbook』の「八ツ橋(伊勢物語)」です☟
今回は、序盤の制作の記録をまとめてみました。
■画材
主たる画材は油性色鉛筆。
三菱の888色鉛筆をメインで使いますが、縛りルールにはせず臨機応変で進めています。
■線画解題とテーマ
線画に描かれているのは、『伊勢物語』の中でも有名な東下りの一場面です。
主人公の「男」が三河国の八ツ橋という所で、燕子花が咲き乱れる光景を目の当たりにし、短歌の各句の頭文字に花の名(『か・き・つ・は・た』)を読み込んだ……というものです。
「からころも
きつつなれにし
つましあれば
はるばるきぬる
たびをしぞおもふ」
という短歌とともに、古典の授業で習った方も多いのではないでしょうか?
この歌の解釈まで始めると塗り絵ブログではなくなりそうなので深入りしませんが、簡潔に超訳すると、
『連れ添って馴染んだ妻が恋しい。
何と遠い所まで旅をしてきたことか!』
となるかと思います。
本線画はこのような物語の情景を描いている一方で、構図からありありと尾形光琳の影響も見て取れます。
著名な『燕子花図屏風(国宝)』の他、八ツ橋付きの『八橋図屏風』も参考にしたのではないかと感じました。
少なくとも風雅自身がそう見なしているせいか、本書を買ってから1年近く
「この線画は『八ツ橋図屏風』ふうに塗るのが王道で定跡で正解だろう」
と思い込んでいたのです。「背景は金色、葉は緑青のような緑、花はラピスラズリの青紫色で塗れば間違いない」と。
しかし、思うところあって、
「この線画では、琳派ではなく『伊勢物語』の燕子花を塗りたい」
と考えるようになりました。
かくして制作テーマが決まりました:
『この『伊勢物語』の一節に対する風雅自身の解釈や感興を盛り込む』
つまり、読書感想文ならぬ読書感想塗り絵をしてみようという訳です。
このテーマが、構想の出発点となりました。
■着色開始〜八ツ橋下塗り〜
さて、前章の通りテーマが定まった後、脳裏には梅雨時の曇り空の下に広がる水辺が思い浮かびました。
水辺をどう塗るかじっくり考えながら、
「さしあたり八ツ橋は茶系統でよかろう」
と、UniカラーのBrownでざっくりと八ツ橋の下塗りをしました。
■水面
絵に描くという観点での水面の特質は、波が立つことと空や水辺にあるものの姿を少し歪めて映すことです。
曇り空の下の水面となれば、記憶をたどると青くは見えず、やや緑がかった灰色や暗く濃い緑色という印象がありました。
ここで1つの問題が浮上します:『画面広くにそんな色を使って色彩的に美しく見せられるか?』
自問すれば、今の風雅に不可能なのは明白でした(灰色に至っては識別から苦手なのですから💦)。
そこで、灰色と似ていながら単純に塗っても綺麗なライラック色☟で代用してみることにしました。
紫系統の色が好きなので、これだけで俄然テンションが上がります。まずは水面の下塗りとして、淡くできるだけ均質に塗りました。
これでは薄過ぎる為、同じ色をもう少し塗り重ねます。
何となく波立って見えるかも?
気を良くして薄青色(888ブルーセレスト)も動員し、2色で小波を描き入れます。
小波の塗り方は割と単純で、下のようなタッチを並べています。
このタッチは、色鉛筆の削り際すれすれ辺りを親指と人差し指で摘むように持ち、寝かせるようにして軽く紙に押し付けてから、利き手方向(※左利きの風雅の場合は右→左)へ水平に引っ張ることで描けます。
例えば、淡く均質な薄青色の下塗りにプルシャンブルーで重ねてみると、下の画像のようになりました。
至近距離ではなく、遠くという程遠くもない位置にある水面の表現になるのではないかと思い立ち、使ってみました。
■ひとまず小休止
以上、「八ツ橋(伊勢物語)」の解題と最序盤の制作過程をまとめてみました。
制作はもう少し先まで進んでいます。
よかったらまたお付き合い下さい♪
それでは、お休みなさい(^^)/
今週のお題「わたしの好きな色」