塗り絵をめぐる冒険

いち美術ファンによる、「目指せ、塗り絵上手!」な試行錯誤あれこれ。まったり気ままな塗り絵ブログ。

【制作の記録】「菌人」、あるいはキノコ美少女化計画。〜その2

 こんばんは♪

 今回は「菌人」制作の記録の続編です。前回記事から早くも1ヶ月近く経過していたことに、今日になって気付きました^_^;

 間が空いてしまってすみませんm(_ _)m

 まずは前回記事で進んだところまでの画像を再掲しておきます☟。

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まだ真っ白な部分が広々と残っている状態ですね💦以下の各章で少しずつ塗り進めて参ります。

 なお、本稿でも前回に引き続き、右(青いほう)の菌人を「ハツミ」、左(紫のほう)の菌人を「ユカリ」、画面手前の手だけ出てきている人物を「お姉さん」と呼びます。

 それでは、参りましょう(^^)/°

 

■ユカリの衣装と頭のキノコ🍄

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 ユカリの衣装は主に紫の系統を使います。

 ホルベイン社のアーチストカラー495番 :Rose Greyで下塗りした後、三菱888色鉛筆のラベンダーを塗り重ねるという方法で下の着物を塗りました。

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 上着はUniカラーのMauveで全体を塗り、袖の先だけ三菱888色鉛筆のマゼンタを重ねています。

 披帛は透ける素材のつもりで塗りました。使用色は色辞典瓶覗(VP-8, 英名:Horizon Blue)です。

 ユカリの衣装は全体的にふわりとしているので、裾と帯は濃い紫色(三菱888色鉛筆のダークバイオレット)で引き締めました。
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 この辺りで一度ユカリの全身を眺め渡したところ、幾分キノコっぽさが乏しい印象を受けました。

 そこで、ユカリのキノコらしさを固めるべく、頭部のキノコに手を着けました。ちなみに、ユカリは『ムラサキシメジの妖精』という設定にしています。

 しかし、頭部のキノコとムラサキシメジは形が大分異なる為、紫系統の濃淡に、薄茶色を添えて自由に着色しました。

 この薄茶色は土のイメージであり、キノコ一般によく見られる色でもあります。色辞典の渋紙色(LG-2, 英名:Kork)を使用しました。

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 これで幾らかキノコっぽさを増したでしょうか?

 個人的には好感触を得た為、着物の衿にも同じ色を採用しました。

 なお、上衣の縁はまた別の薄茶色で、色辞典の子鹿色(LG-1, 英名:Fawn)を使っています。

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 以上のような配色で、現在は塗り込みの真っ最中。出来たところまでの画像ですが、下のようになりました☟。

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■お姉さんの腕の模様

 お姉さんの腕も進みました。

 ここで目立つのは何と言っても右腕の模様です。

 これは刺青…なのでしょうか(・・;)

 よく分からないので、インドのヘナタトゥーのようなものと解釈し、赤系の色でくっきり模様が出るように塗りました。f:id:white_fuga:20190513223552j:image

 腕輪は翡翠のつもりです。

 ただパーツが細くて素材感を追究するには至らず、いかにも翡翠っぽい色で塗るに留まりました。

 UniカラーのCeladon(538)で下塗りした後、暗くなる部分に三菱888色鉛筆のブルーグリーンおよびピーコックブルーを重ねました。


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 腕輪の間に浮いている丸い玉は水晶のつもりです。こちらは三菱888色鉛筆のセルリアンブルーで塗りました。

 

 お姉さんの腕はこれで完成としたいところです。

 ただ、赤い模様を塗る時に気合いが入り過ぎたのか、これだけが画面全体で物凄く目立ってしまっている気がするのです…💦

 頑張り過ぎたかなぁ……^_^;A

 もしかしたらあとで対処が必要になるのかもしれません。

 

■背景

 地味なところですが、色辞典の秘色(VP-7、読み方:ひそく)を使って背景の塗り込みもしました!

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 以上の作業の結果、「菌人」は下の状態まで出来ました☟。

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 とりあえず真っ白な部分はかなり少なくなりましたね。

 完成に向けて引き続き頑張ります。

 

 という訳で、今回はこの辺りで(^^)/

 お休みなさい。

"Nightfall"より「キツネの散歩」が完成していました。

 こんばんは(*^^*)

 連休中、近所の小さな公園でアカツメクサの花を見かけました☟。

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 野原に咲く花だと思い込んでいたので、宅地の公園の植え込みで見かけるとは意外の感がありました。

 今回は、このアカツメクサも登場する作品の話をしたいと思います(^^)

 何となれば、ここまでGW中の成果の報告は天平文様を含む和柄に偏っていたのですが、実はもう1点(模様ではない)大本命があったのです…フフフフ( ̄ー ̄)ニヤリ。

 

 まずは完成作品をご覧ください☟。

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所収:Maria Trolle著 "Nightfall"

画材:油性色鉛筆。

 

 未着色の時はこんな感じでした。
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 野原(?)を進むキツネを中心とした線画。近景に草花と木、中景に野原とキツネ、遠景に針葉樹と天体を配した風景画ふうの構図となっています。

 天体を太陽とするか月とするかで、夜中にも真昼にもできそうでしたが、本書全体に"夜"のイメージを感じている為、月🌕として着色しました♪

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 この線画、遠景まで描かれている割に遠近感が分かりにくいのです…Orz。より正確に述べると、現実世界で培われた自分の"遠近に対する感覚"が通用しなくて

「時空が歪んでる〜(ToT)」

と途方に暮れるというものでした。

 例えば、手前のスミレと画面右の木の間が何M離れているのか。これが写真だったら影の入り方から「6畳間の長辺くらいかな」とか大雑把に把握出来ると思うのですが、線画の状態だと同じことができません💦

 Trolle氏の線画ではこのような経験が何度もあります。…相性悪いのかなぁ?

 

 勿論、冷静に考えれば、そこを自分で何とかするのが"大人の塗り絵"。

「このつかみきれない距離感を上手に誤魔化すにはどうすれば……」

と考え、草花や木や野原の土といった各モチーフの間に暗がりを置くことにしました。

 近景の草花周辺の暗がりは、(線で描かれていなくても)状況的に草が生えているのが自然かと思われ、紫や灰緑、グレーを斑に重ねました。

 目指した境地は印象派前後の西洋の油彩画でした(←目指しただけ💦)。その頃の油彩画は『よく見えないけれど存在する物とその陰』をモノクロ以外の絵の具も混ぜて描いている印象が強く、憧れを抱かせるのです。

 暗がりを描くのに紫や緑といった目立つ色を使うのは初めてのことで、それ自体が新鮮でした。今回は「やってみた!」で終わっていますが、別の線画でも機会があれば実践するなどして気長に練習します(^^)

 

 夜の場面では、光が当たる所をどう描くかも、重要なポイントかと思います。

 今回の線画で最大の光源は満月🌕です。

 その強い光を浴びて、丈の高い花や木の葉が自ら輝いているかのように見せたくなりました。

 活躍したのは色辞典の蛍光色でした。

 蛍光色は近似の一般色と混ぜたり隣合わせにして塗ったりすると、画面上で悪目立ちせずに働いてくれるのだと今回学びました。f:id:white_fuga:20190511193210j:image

 

 このようにして作業を進めていき、最後に月とキツネが残りました。 

 その時点までキツネの毛色は明るめのオークルにしようと思っていたのですが、

「キツネ色で塗っても目立たない!!」

と遅まきながら気づきました。

 花や葉はおろか野原の草までも煌々と光っているモチーフに囲まれていては、類似色のキツネ色だと埋もれてしまいます。

 そこで、思い切ってキツネの毛色を暗くすることにしました。

 毛色が暗いと最初に見た時には見過ごされるかもしれませんが、近景・中景・遠景の光るモチーフをたどっていると、どこかで画面中央の"黒いヤツ"が目に入るはず。コレをよく見るとギンギツネだったーーとギョッとして頂けたらいいかも、と考えての配色です。f:id:white_fuga:20190511195437j:image
 ただ、ギンギツネは毛色がカッコいいので、塗っている間ずっと、画像を見るのが楽しくてたまりませんでした(≧∇≦)

 なお、着色の際にはUniカラーのBlue Grey(567)が活躍してくれました♪f:id:white_fuga:20190511200831j:image

 そしてキツネの後に月を塗り、作品完成となりました(^^♪

 ちなみにアカツメクサは最前列の中央左寄りに位置しています。露骨に脇役扱いですが葉っぱが特徴的なので、すぐ気づかれたかと思います。

 

 「キツネの散歩」制作に関する話は以上ですが、本稿のように塗り方(how)ではなく、何を考えて(why)塗ったかを記したものはメイキングと称してもいいものでしょうか…?個人的には多少違和感があった為、題に【制作の記録】とは付けていません^^;。

 

 逆に5/9付の「円鏡平螺鈿背」関連記事ではもっぱら何をしたかを書き連ねていましたね。

 後から読み返して

「制作者が何を考えているかサッパリ分からないのでは……?」

と不安になったので、補足として現在の進捗画像を上げておきます☟。

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上は最も順調な部分の画像です。

これでお察し頂けるかと思いますが、文様の背景を✨キラキラ✨モザイクで埋めようとしているのです。

「飽きっぽくて単調な作業が嫌いなくせに、どうしてこんなことを始めるかなぁ?」

と自問すると

「この線画に関して思いついた複数の案の中で、一番素敵な仕上がりになる気がした」

とか細い声で答えが返ってきました…💦

 そういう訳で、途中で嫌気が差して挫折するかもしれませんが、できる限り頑張ってみようと思います。

 よかったら気長に見守って下さい(^人^)

 

 それでは、また(^^)/

【雑談】「円鏡平螺鈿背」に着手しました。

 おはよーございます♪

 5/7、『ぬりえ天平文様 かぎろい』でまた新しい作品:「円鏡平螺鈿背(えんきょうへいらでんはい)」に着手しました!

 相変わらず呪文めいた題名ですが、ざっくり言うと螺鈿の施された丸い鏡の背面の文様です。

 

 今回は、思うところあって文様の背景を黒い円形に塗ることにしました。

 文様自体は顔彩で塗る計画の為、たわみ対策として、まずボール紙に工作用マスキングテープで紙を貼り付け、鉛筆で円の下描きをします。

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 ついで、ペンで円をなぞりました。
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 コンパスがなく、即席の手段で円を描いた為、ちょっとイビツですね💦💦

 序盤で落ち込んでも仕方ないので、めげずに先に進みます。早速顔彩を使いました☟。

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 ちなみに、使用色は下の画像の5色です(下段は左右ともパール青銅)。

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 筆で塗る作業に集中し過ぎて疲れてきた為、一旦中断し、紙を乾かします。

 数時間後、紙が完全に乾いてから、少しだけ色鉛筆を使ってみました☟。

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 使用色は三菱888色鉛筆のマゼンタです。

 真ん中の4つの楕円形に着色したところ、多少画面が引きしまったように感じました。

 初日はここまでとなりました。

 

 5/8夜、作業再開。

 再び顔彩で文様を塗っていきました。
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 色が見にくくて申し訳ありません💦

 作業していても塗ったか否か分かりにくい為、風雅自身、時々下のように斜めから見ています☟。

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こうして束の間✨キラキラ感✨に耽溺しながら塗り進めーー

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上の通り、文様部分は塗り終わりました。

 画像では紙が少しうねっていますが、乾いたら穏当に収まると信じています^_^;

 

 5/8は上記までとしました。

 このあと黒い色鉛筆で背景を塗る工程が待っているのですが、恐ろしく単調で手間がかかる作業となりそうです(¯―¯٥)

 

 ただ、この作品を完成させた暁には、『ぬりえ天平文様 かぎろい』コンプとなるので頑張ります!

 完成したらまた投稿しますね〜(*^^*)

 

 合間にマンダラも1点塗り上がりました。

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画材:油性色鉛筆。

色辞典7巻の蛍光色のうち2本をおっかなびっくり使っています。日常生活で蛍光色のアイテムをほぼ使わない為、加減がよく分かりません…(^o^;

 

 それでは、仕事に行ってきます(^^ゞ

【試し塗り】色辞典第8巻と第9巻で天平文様を。【実は投稿100回目】

 こんにちは〜🎶
 大型連休も終わりに近付いていますね。風雅は家でゴロゴロするのが中心で例年と大して変わらなかったのですが、ほぼ毎日塗り絵が出来て楽しく過ごせました(^^) 

 特に天平文様の塗り絵本は快調に進んだ気がします。
 5/5も1点完成しました☟。
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 「唐花文縹綾(からはなもんはなだのあや)」という題名の対称形です。

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 上のような菱形を基調とした文様を4つ菱形に寄せ集めるとか、古代の職人の遊び心が感じられますね〜( ´∀`)

 今回、この対称形で"色辞典"vol.8とvol.9の試し塗りをしました。この20本は、先月買った"色辞典"第三集の一部に該当します。

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 上半分がvol.8(very pale tone)、下半分がvol.9(dull tone)です。
 色がとても薄いセットと彩度が低く濃い色のセットで、開始前はうまく塗れるか未知数でした。
 多少扱いが難しかったのは、vol.8のほうです。何と言っても色が薄いので、単独では輪郭がはっきり伝わらないという難点がありました。
 そこで『薄い色は必ず濃い色と隣接させる』と意識して配色しました。
 パーツの内側でグラデーションを作ったり、際に濃い色を入れたりして、何とか20色使えました〜♪

 試し塗りをしてみると、色辞典のような色調での分類はなかなか有用なのではないかと感じました。
「何色を使っても色調自体は統一されている」
と分かっていることで、多色使いがしやすくなる気がするのです。今はまだ"個人の感想"レベルでしかありませんが…^^;

 使い勝手については、よく聞く"硬い色辞典"そのものという印象でした。今回の線画は細かい所も多く、適材適所だったかと思います。

 ところで、今回の記事で当ブログ:『塗り絵をめぐる冒険』は投稿100回を数えました〜ヽ(^o^)丿
 飽きっぽく面倒くさがりな風雅としては、ここまで続いたのはまさに僥倖としか呼べません!
 ひとえに読者の皆さまのお蔭です。
 心より感謝申し上げますm(_ _)m

 という訳で、今回もお付き合い頂き、ありがとうございました。
 願わくは…また次の記事でお目にかかれますように(^人^)


(※参考画像:「唐花文縹綾」部分)
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今週のお題「特大ゴールデンウィークSP」

【制作の記録】赤地花文錦のペルシャ風。〜後編〜

 こんばんは〜♪

 昨日から『ぬりえ天平文様 かぎろい』所収「赤地花文錦」の制作話をお届けしています。

 ちなみに、完成作品はこちらです☟:

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 それでは、後編に参りましょう(^^ゞ

 

■シルエット塗りの準備

 シルエットの型は、ポーケ兄弟という19世紀の版画家が描いたファッション・プレートから取りました。

 左側が「ショールをまとう貴婦人」、右側が「モハメド・イブラヒム(コルコンダ王の将軍)」で、それぞれ単独で描かれています。

 どちらも著名人ではなく、ミロのヴィーナスやロダンの『考える人』のようにシルエットだけで誰もが対象を特定できる美術アイコンでもありません。

 2つのシルエットで影絵芝居の一場面のようなものを作りたいと思い、人物の輪郭が優美な凹凸を伴う素材を選びました。

 

 工程は至って単純でした。
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トレーシングペーパーを使って型を取った後、線画に写しただけです☟。

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 その際シルエットの配置に拘りました。

①文様の全体像が綺麗に見える

②輪郭が文様の描線と同化しない

③輪郭が文様の描線と平行しない

④人物同士が交流しているように見える

ーー以上の条件を満たす位置に置くことで、シルエットと文様が相互に引き立て合えるのではないかと考えたのです。

 このうち④については、2人が何をしているのか決定的に示せる要素がない為、見る方を困惑させるものになってしまったかもしれません💦

 影絵に吹き出し💬を付ける気分で自由に想像してもらえたらいいな、と風雅本人は思っていたのですが。…見る方に楽しんで頂ける作品を作るのは難しいものですねぇ(^.^;

 と、そんな反省会はあとにして。

 ともかくもこれで塗る準備が整いました♪

 

■着色

 参考までに、前編で作成したパレットを再掲します☟。

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 着色は内側を先に完成させてから、外側に向かって1色ずつ増やしていく流れを基本としました。

 内側は青の濃淡を基調とし、そこに黄色を絡めていくイメージで進行。終わった直後は、下のような状態でした☟。
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 ここから外側に進出して間もなく、ヤマ場が訪れました。

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 上の画像でブルーグリーンで塗り進めている部分が、文字通り切れ目がなくつながっているのです。宝相華の花びら8枚の最大部分が巨大な1つのパーツという……💦

 線が入り組んでいることもあり、

「終わりが見えない…(・・;)」

 

とげんなりしつつ、日を跨ぐと余計にキツくなるからと夜ふかしして塗り切りました。

 ブルーグリーンの部分を塗り終えた時点で、概ね下の画像☟のような状態です:

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 ここまで出来ると全体像が想像しやすくなり、格段に楽になりました。

 また、1つ前の画像と比べると、人物のシルエットも着々と黒く染まりつつあることに気付くと思います。

 シルエットは、色鉛筆で手が疲れた時の骨休めとして、ぺんてる社のサインペンで塗り進めました。ただ、中の模様をまだ確認したい区域は後回しになります。


 ブルーグリーンの次には、グリーン、イエロー、オーカーの各部分を塗りました。
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 オーカーはイエローの周囲に置くと、陰影を添えるようなはたらきをします(この効果は少し離れた所から見たほうが顕著に分かります)。

 恐らく、このように同系統の近似色をベタ塗りで隣合わせに配置する彩色方法を極めていくと、かの有名な『繧繝彩色(うんげんさいしき。奈良の寺などで見られる古代のグラデーションの技法)』という技法になるのだと思います。

 2色程度では『繧繝彩色』と呼ばないのかもしれませんが、天平文様的な彩色方法として本作品で多用しました☟。

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前掲のパレット🎨も、実はそうした2色の陰影表現を多少意識して色を並べています。

 

 そういう訳で着色作業を進め、最後にシルエットの残りを黒く塗り潰して、無事完成となりました(☟※再掲)♪

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■終わりに

 今回は、やや苦手な文様を異文化の力を借りて克服するという挑戦でした。

 出来上がった作品を見るとワタクシ本来の色彩感覚からは生み出せない、濃ゆーい異国情緒が漂っており、嬉しく感じています♪

 また、シルエット塗りを施したことで、文様を壊さずに対称性に風穴を空けることができました。宝相華文様のカッチリとした対称性をやや息苦しく感じる身としては、アレンジ次第で何とかなると分かっただけでも大きな収穫でした。

 作品を見た方に楽しんで頂くという点に関しては及第点未満かもしれませんが、今後の精進に淡く期待して頂ければと思います。

 

 本日もここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。

 連休終盤も楽しくお過ごしください。

それでは、お休みなさい〜(^^)/

 

【5/5追記】

 今回の作品は、シルエットから想像を膨らませて頂きたいので、元ネタの版画作品は敢えて載せていません。

 ポーケ兄弟のファッション・プレートは日本語版がマール社から出版されていますので、気になる方は探してみて下さい(^^)/

 

【制作の記録】赤地花文錦のペルシャ風。〜前編〜

 こんばんは(^^)連投失礼します。

 本日、午後のティータイムにチャイ用の茶葉が届きました!

 自宅で淹れるのは本当に久しぶりだったのですが、トルコ料理店等で頂くものに比べるとまだまだ上手く美味しさを抽き出せていない気がしました^_^;

 色々研究しながら楽しみたいと思います。

 

 と、雑談はここまでにして。

 今回は今朝の記事で触れた、天平文様の作品の制作話です。耳馴れない固有名詞も出てくるかと思いますが、読み流しても本筋には影響ありませんので、肩の力を抜いてお付き合いください(^o^)丿

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■完成作品:「赤地花文錦」

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画材:油性色鉛筆、サインペン。

制作時期:2019/5/1〜5/3。

 

■線画とテーマ

 作品の題名は「赤地花文錦(あかじかもんにしき)」。『ぬりえ天平文様 かぎろい』に収載されています。

 ネタ元の正倉院御物は染織品で、本線画はそこから抜き出された文様のようです。大きな宝相華文様が1つ、画面いっぱいに描かれており、完全に対称な構図となっています。

 

 宝相華文様に若干苦手意識があり、何とか軽減する方法はないかと頭を捻った結果、

『どこかの工芸に特徴的な色彩で、エキゾチックな宝相華文様に仕立てる』

というテーマを思いつきました。

 具体的なネタは世界のタイル博物館編『世界の装飾タイル』(2007年、青幻舎)☟から着想しています。

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この文庫本は、古今東西のタイルの特徴が例示されている解説つきの写真集です。収載されているペルシャ(現在のイラン)のタイル数点が気に入り、その色彩を借りることに決めました。

 

ペルシャのタイルの色彩

 "色彩を借りる"と言うと何やら華麗に響きますが、本質的には色数を限って塗るという話に他なりません。

 どんな色を使えるのか確認する為に、同書40-43ページ及び64-66ページの写真7点を見て主な使用色を抽出する作業をしました。

 参照したタイルの生産年代は17世紀から19世紀までと開きがあるものの、面白いことに、使用色は似通っていました。ペルシャのタイルがこの色彩一辺倒という訳ではありませんが、1つの典型と見ることはできるかもしれません。

 抽出した各色のうちで制作に使いたい各色に、主に三菱888色鉛筆とバラ持ちのUniカラーから近い色を充てていき、

本作品限定の"パレット"が出来上がりました。

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 上の画像で右下の黒色以外の各色が、文様を塗る際の使用色となります。

 

 ちなみに、今回何故三菱の888色鉛筆やUniカラーを使ったかというと、澄明な発色が持ち味だと評価しているのと適度な硬さがあって細かいところが塗りやすそうに思われた為でした。

 ワタクシの大好きなUniカラーのViolet Blue(530)も、かなり短くなっていますが、メンバー入りしています♡

 

■小休止

 これで塗る準備が整った…と言いたいところですが。

 ここで構想が更に膨らみ、エキゾチック調の宝相華文様に黒一色のシルエット塗りを施すことにしました。

 という訳で、着色に移る前に線画にシルエットを描かなければなりません。

 

 記事が少し長くなりそうなので、続きは次回とさせて下さい。続編は明日投稿するつもりです。

 それでは、また〜(^^)/"

 

【雑談】和柄ラッシュ。

 おはようございます♪

 このところの大型連休、皆さまはいかがお過ごしでしょうか?

 風雅は4/30に渋谷で絵画展:「印象派への旅」展☟を観てきました。

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 スコットランドグラスゴーに遺る、海運王バレルの収集品が並ぶ企画展です。

 1点で大勢のお客を呼べる(例えばフェルメール作『真珠の耳飾りの少女』のような)特別な傑作がある訳ではなかったのですが、なかなか見所のある作品がいくつもあり、楽しい時間を過ごして来ました(^o^)

 

 塗り絵は少しずつ進んでいます。

 4/28に塗りかけとお伝えした「花色衣」(『和の花暦と花もようぬり絵ブック』所収)は、4/30に完成しました☟。 

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紅葉の一部に三菱Signoの金色ボールペンを使った他は、油性色鉛筆で塗っています。

 このページでは、無地を紅、模様入りの地を薄い色のグラデーションと塗り分けたのが最大の冒険でした。着物特有の"大胆な美"を再現してみたくて配色しました(でも現実に着て歩きたいとは思えないデザイン…^_^;)。

 

 同じ日の夜、日付が変わる数分前に天平文様の作品も完成しました。こちらは「銀平脱鏡箱(ぎんへいだつのかがみばこ)」という題名が付いています☟。
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 画材は油性色鉛筆、サインペン、ボールペン(金&銀)を使いました。

 青の濃淡、緑の濃淡そして金色と銀色ーーこの組合せが予想以上にオリエンタルで、俄に気分が昂揚しました(*^^*)

 尤も、中央の鳥が視界に入るとデパ地下で見かけたタンドリーチキンを思い出していたのも事実です。

 こうして、好みの塗り絵が出来た喜びとタンドリーチキンへの未練とともに、風雅の平成時代は幕を閉じたのでした……🐣🐥🐔

 

 5月に入ってからは1点だけ完成に至りました。

 これも和もので、『和の花暦と花もよう ぬり絵ブック』の「花車の詩」です☟。

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 画材は油性色鉛筆の他、一部に顔彩を使いました。

 実は「花車の詩」は本書で一番後ろに位置する塗り絵ページなのです。前ページまでに登場する種々の和の文様と花モチーフが散りばめられ、まるで文様とモチーフのカーテンコールのようだと感じました(*´∀`)

 そうした解釈により、"和柄のパッチワーク"をコンセプトとして好みのままに塗っていきました。

 

 こうして記事にまとめると、最近和柄を手がける頻度が上がっているのを実感します。

 主因は天平文様への傾倒ですかね〜^^;

 1つ終わるとすぐ次の線画に手を着けたくなるのです。某社の海老せんべいの如く、止まりません💦

 という訳でお察しかと思いますが、既に次の天平文様に手を出しています。少し凝ったこともしているので、詳細は次回記事で。

 よかったらまたお付き合いください(^^)/

 

【追記:はてなブログでいつも読ませて頂いているブロガーの皆さまへ】

 最近記事に『★』を付けられなくてすみません💦『★』付けのボタンが出てこなくて、今は付けられなくなっています(;O;)

 ですが、どなたの記事も楽しく拝読しています!今後もどうか素敵な記事の配信をよろしくお願いします🙏

『ぬりえ天平文様 かぎろい』完成作品ギャラリー②

 こんばんは〜♪
 今回は『ぬりえ天平文様 かぎろい』で今月塗り上げた作品5点(ブログ初公開作1点を含む)を並べました。

■「紫檀木画槽琵琶(したんもくがそうのびわ)」

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画材:油性色鉛筆。


■「紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく)」
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画材:油性色鉛筆。


■「檜金銀絵経筒(ひのききんぎんえのきょうづつ)」
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画材:油性色鉛筆、顔彩。


■「木画紫檀双六局(もくがしたんのすごろくきょく)」
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画材:油性色鉛筆、顔彩。


■「紫檀金鈿柄香炉(したんきんでんのえごうろ)」 ←NEW!
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画材:油性色鉛筆、サインペン、ボールペン。

  4/28に塗り始め、翌未明に完成した最新作✨です♪
 元の線画は中央の2段の文様のみでした。
 正倉院の美術の入門書で見た写真によると、ネタ元の御物は紫檀材に金象嵌で文様を表し、所々に水晶を嵌め込んだ、持ち手の長い香炉です。
 しかし、初めてこの線画を見た時から、風雅の脳裏では『流鏑馬(やぶさめ)』の三文字が明滅していました。
 盾を横一列に連ねたような下段の文様☟が的のように見えませんか?
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 そう思い始めると、上段の文様も、的の背後に佇む神社境内の木々に見えてくるのです(流鏑馬は神事として行なわれることが多いようです)。
 折角なので(?)この見方を制作に反映することにして、馬を3頭描き足しました!
 もう完全な悪ノリですね(*´σー`)エヘヘ
 こうして的の手前は走路となり、騎馬が闊歩している光景に改造されました♪
 なお、あまり目立ちませんが、上段の木々は内側の枝葉だけ部分的に明るい色を着けています。
 
 以上、『ぬりえ天平文様かぎろい』の完成作品ギャラリー第2弾をお届けしました(^^ゞ

【雑談】「御簾の内の語らい」が完成していました。

 こんばんはー♪

 春の大型連休前半、多数ある塗りかけを挨拶回りのように少しずつ色々進めている風雅です。

 昨日は『和の花暦と花もよう ぬり絵ブック』所収の「花色衣」☟に最も長く時間を割いていました。
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「ベタ塗りでサクサク進みそう♪」

と思いきや、存外進まなかったというケース。

 線画を見て完成までにかかる時間を予測するには、まだまだ経験不足のようです^_^;

 

 さて、前回記事執筆中、もう1点未公開の作品があったことに気付きました。

 遅まきながらご覧に入れたいと思います。


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画材:油性色鉛筆。
出典:『平安王朝絵巻ぬりえbook』。

題:「御簾の内の語らい」

 何度も制作途中画像を載せてきた作品です。4/8に完成しました。

 画像だと色飛びが激しい為、少し暗くして撮影するとーー

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…上図のようになります。

 このページは人物が3人おり、画面奥を板戸と御簾で囲われた上、手前も几帳で仕切られているという構図をしています。窮屈に見えないよう、調度品や内装などには薄めの色を配したものの、目的を達成できているのかどうか💦

 内装部分では、畳の攻略に注力しました。

 「畳!?」と意外に思われるかもしれませんが、いかに畳の質感や色合いを出したものか、さっぱり分からなかったのです。 

 平安時代の畳が実際どんなものだったのかは分からない為、現代の新品の畳を念頭に置いて色辞典のSage Green(DL-4)を主に使用しました。陰になる部分には同じく色辞典のHummingbird(DL-6)を重ねています。f:id:white_fuga:20190429171959j:image

 

 人物については、平安時代の装束に対して立体的なイメージが出来ていないので、画面奥の女性☟のようにひねった姿勢で描かれるとたちまち訳が分からなくなる難しさがありました。 
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 なお、この女性は元々顔に鼻筋しか描いてなかったのですが、のっぺらぼうだと怖いので眼や口を描き込んでいます。檜扇に鳳凰らしき絵柄が入っていることから

「気位が高そう…」

と何となく想像しながら描いたところ、ややキツい顔立ちになってしまいました(^o^;

 他の2人も拡大画像を載せておきます☟
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 男性のほうは衿(えり)の構造等の細部がよく分からず、何となくで塗りました(ToT) 綺麗な四角に整形されていますが、これはどういう縫い方をしているのでしょうね……?

 

 このように、塗る時に気になったポイントが多数ある作品ですが、逆の見方をすると和風の調度品や着物の経験値が積めてお得だったかもしれません。

 『大人の塗り絵 美人画編』等にも畳や簾の登場する「恋文」なる線画があるので、現在進行中の人物塗り絵2点(「菌人」と"夢カワ姫")に目処が立ったら早速手を着けてみようか…などと考えています。

 

 以上、ややタイムラグのある完成報告でした。

 それでは、また〜(^^)/" 

 

『和の花暦と花もよう ぬり絵ブック』完成作品ギャラリー①

 こんばんは。

 今年2月に手を着けて以来、いつも1〜2枚塗りかけを抱えている印象のある、石村和代『和の花暦と花もよう ぬり絵ブック』。

 これまで塗った作品5点をギャラリーに集めてみました。 

 

①燕子花
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画材:油性色鉛筆、ボールペン。

 

②吊るし雛
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画材:油性色鉛筆、ボールペン。

 

③春の調べ ←NEW!
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画材:油性色鉛筆。

 

 当ブログでは初の披露となります。

 季節の塗り絵として塗り貯めたものを桜🌸の季節に一挙公開するつもりだったのですが、本作1点しか制作できなかった為、放置しておりました……(^o^;

 4月末ならば日本列島のどこかではまだお花見シーズンかと思いますので、ギリギリセーフとして下さい(^人^)

 

④香袋
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画材:油性色鉛筆。

 

⑤髪飾り
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画材:油性色鉛筆。

 

 ④と⑤は、本筋制作中の裏番組として着手したものでした。いわゆる"物尽くし"の線画は、裏番組とするのに向いているように感じます。

 

 以上、『和の花暦と花もよう ぬり絵ブック』ギャラリーにお立ち寄り頂きまして、ありがとうございました♪