塗り絵をめぐる冒険

いち美術ファンによる、「目指せ、塗り絵上手!」な試行錯誤あれこれ。まったり気ままな塗り絵ブログ。

【雑談】海の見える街を塗りました。

 こんにちは♪

 ようやく梅雨明けとなるようですね。

 実は、名ばかりで過ぎた"海の日"の前日から、海の見える動物たちの街を塗っておりました。7/21に完成したので、ご覧に入れたいと思います。

 

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出典:『心ときめく四季のワルツ』。

画材:油性色鉛筆。

 動物が屋根の上で井戸端会議していますね。煙突にドーム屋根の教会があるので、ヨーロッパの海辺の街という趣でしょうか。

 瓦屋根と樹木ごしの遠景に海と空が配されており、

「奥行きがあっていい構図だなぁ」

と以前から気にいっておりました♪ハガキ2倍大と手頃な大きさでもあり、この塗り絵本で一番好きな線画かもしれません。

 

 今回は風景部分から塗り始めました。紙がそう大きくない為か、空や木立はサッと塗れるものの、屋根瓦は結構な分量でした。半年分の瓦を塗った気がします(笑) 

 動物の内訳はネズミ2匹、ウサギ2匹、ハト2匹と解釈しました。鳥は海鳥でないのかと思われるかもしれませんが、足の爪の形から丘にいる鳥かなと推定しています。色合いが美しいアオバトということにしました。

 ただ、先にスカーフや小物の色だけを原色で塗っておいたところ、戦隊ものの趣を醸していました。風雅自身は競馬の騎手の帽子の色を使ったつもりでしたが、戦隊ヒーローとかぶっていた訳です^^;

 折角なので悪ノリしました。

ラッパ吹くネズミがリーダーの"レッド"、

読書するウサギが知将キャラの"ブルー"、

トーストサンドを持つネズミが食いしん坊の"グリーン"、

籠を持つウサギが紅一点の"ピンク"。

煙突の上に位置どるハトは勿論司令官です。空中にいるハトがその秘書(笑)。なお、幼少期に観た戦隊もののセオリーでは、司令官が男性、秘書が女性というパターンが主流でしたが、ここの2羽はいずれもメスです。

「あれ、ヒーローが1人足りない?」と気付いた方は水平線の少し上辺りを探してみてください。一匹狼キャラの"ブラック"が見回りに出ているのが見つかると思います。

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そう、ハトの司令官の左横に見える、黒い鳥のシルエット。これが"ブラック"です♪"ブラック"は黒い色鉛筆で直に描き込みました。

 海景画(つまり海の風景画)の展覧会に行くと、画面上の広いところに遠くの鳥が描かれているのをよく観るのですが、今回自分で描き込みをしてみて、その効果が実感できました。画面上のアクセントにもなり、遠近感も強調することが出来るのだ、と。

 労力に比べて効果大(∩´∀`)∩ワーイ♡

 ちょっとお得感のある発見だったので、記しておきました♪

 

 さて、唐突に話は変わりますが、先日油彩の技法関連の本を1冊買いました。

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 『武将を描く』という題名と信長公が見下ろしてくる表紙が強烈過ぎて、キャッチーなのかドン引きなのか…いやはや。

 中身は、著名なイラストレーター:長野剛氏が自身の油彩画制作に関する道具・制作手順・技法を記している本格派です。

「塗り絵の参考にはならないかも…」

と思いながら一応中身をチェックしてみたところ、勉強になることばかりでした!!

 勿論、読んだ直後から使える塗り絵テクニックなどは1つも書いてありません。しかし、『○○を表現したくて●●した』という具合に伝え方が明瞭で、咀嚼してみると塗り絵にも応用できそうな印象がありました。

 著者の作品も多数収載されているので、楽しみながらじっくり読み込んでいきたいと思います。

 

 このように各種参考書も少しずつ増えてきました。

そこで今夏は技法書・配色本5冊程についてレビュー企画をしようと考えています。

 実用書のレビューは未経験で手探りになるので、「値段は見合っていると思うか」、「○○の悩みに対する答えが書いてあるか」等書いて欲しいポイントがある方はぜひ教えて下さい(本記事のコメント欄にどうぞ)。

 このレビュー企画、とりあえず来週あたりから配信していくつもりです。

 それでは、また〜(^^)/

【制作の記録】都落ちと唐衣〜伊勢物語の燕子花〜 その4(完結)

 こんばんは〜、風雅です。

 引き続き『平安王朝絵巻ぬりえbook』より「八ツ橋(伊勢物語)」の制作話をお送りします。

 本稿では、唯一未着色で残っていた主人公の男性☟を塗っていきます。

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彼は、物語本文では『男』と呼び表されていますが、名無しだと紛らわしいので以下では『アズマくん』と呼びます。

 

■装束の配色

 アズマくんの装束は『直衣』と呼ばれる貴族男子の日常服のようです。

 都落ちの旅にどのような服装が相応しいのか、想像してもよく分からなかったので、ここは"風流な人"としての一面を表そうと思いました。

 この場面と歌の主題の"かきつばた"。

 実は、その名で表される色目が平安時代にはもう1種類ありました。すなわち、『表:二藍(ふたあい)、裏:萌黄(もえぎ)』の2色の組合せを指します。

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 燕子花の配色に用いた襲(かさね)の色目:『かきつばた』とは異なる色味ですね。

 6色構成の襲の色目が女子の装束用で、2色構成の色目は男子の装束用だった、とざっくり理解しています。

 

 ともかく、この2色を袍(「ほう」。上半身から膝下辺りまでを覆っている着物)の表と裏に使われているものと想定して塗っていきます。

 平安時代の絹は薄く、裏地の色がうっすら透けて見えたとされています。裏側の萌黄色は袖口の他、光が当たって表地の色が薄く見える部分に使いました。

 言葉にすると簡単そうですが…実際は殆ど経験のない"透け"の表現をするということでガチガチに緊張していました(笑)

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最初に萌黄色をところどころに塗っただけで「手強そう」と感じた為、色の選択肢が少ない他の部分を並行して塗り進めることにしました。

 という訳で、袍の二藍色に先立ち、脚を覆う指貫(さしぬき)を塗ってしまいます。

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指貫の色は概ね年齢で決まっていたそうで、濃い程若く、年をとる程薄くしていったのだとか。

 アズマくんは「自分は要らない人間だ!」と思い詰めて自主的に都落ちするあたり、若いか純粋すぎるかその両方かと感じられますので、ここは青年らしく濃い赤紫の指貫にしました。

 888色鉛筆のフューシャパープルは鮮やか過ぎる印象だった為、地はポリクロモスのRed-Violet(194)を基調としています。

 

 指貫の他、髪なども塗ってじわじわ外堀が埋まったところで、袍の攻略にかかりました。

 表地の二藍は、濃く見える部分から徐々に広げていきます。 

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 右の肩甲骨から地面ヘ下りる垂直の補助線をイメージすると、その補助線の周辺が最も濃く見えるのが分かると思います。

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 濃いところにとりあえず二藍色が着いたところで、光が当たって裏地の色が透ける部分に萌黄色を塗ってしまいました。

 この後は、その部分の表地が透けるのが自然だと感じて貰えるように意識しながら、表地の二藍色を少しずつ濃くしていく工程になります(この"辻褄合わせ"が、塗り絵をしていて最も頭を使う部分かと思っています)。

 集中し過ぎた結果、残念ながらこの工程の画像を撮りそびれました…💧

 その為、いきなり完成形となりますが、着色後のアズマくんは下のように塗り上がりました☟。

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■完成作品および物語解釈について

 完成した全体像☟もご覧下さい。

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 うまく出来たかどうかは分かりませんが、概ね塗りたいように塗れた気がします♪

 その塗りたい風景が、曇りの日やらくたびれた八ツ橋やらでやや陰気なものとなっておりますが(←)、これも『伊勢物語』の八ツ橋の場面への解釈ゆえでした。

 というのも、アズマくんは都落ちの身の上

で、生来属していた"みやび"ーーつまり、洗練された宮廷風の世界の外側に弾き出されています。

 そしてそれをはっきりと認識した瞬間に

「何と遠い所まで旅をしてきたことか!」

と慨嘆したのでした(※「からころも…」の和歌の後半が該当します)。

 そこから推定すると、彼の眼前には"みやびではない"けれども歌心をくすぐる水景が広がっていて然るべきと考えられます。

 本作品の八ツ橋は、そんな鄙びた雰囲気の象徴として、くたびれた外観になりました。

 陰気な天候も、季節感と同時に、アズマくんの置かれた先行き不安な境遇を反映したつもりです(主人公の内面と外界が呼応するのが文学の常道ですからね〜)。

 

 こうして言葉にしてみると、"読書感想塗り絵"は想像以上に理詰めの構成となるものだと分かります。

 いきおい制作の記録も文字数多めとなってしまいました…💧

 ただ、風雅自身はこの制作を思いきり楽しみました。何かを読んだり見たりした時に湧き出る感想や解釈を、調べ事をして裏付けを取ったり脳内で再検証したりしながら形にしていく過程は充実感がありました。

  

 以上、4回にわたって「八ツ橋(伊勢物語)」の制作話をまとめて参りました。

 ここまでお付き合い頂いた読者様には、感謝の言葉しかありません。ありがとうございます。そして、お疲れさまでした…💧

 それでは、また〜(^^)/

 

 

【『伊勢物語』に関する追記】

・「『伊勢物語』の主人公と言えば在原業平ではないのか」と思われるかもしれません。が、古代からそういう解釈がなされてきただけで確定ではないこと、物語とは別に在原業平という実在の人物がいたことを考慮し、本稿では『業平』と呼ぶのを控えました。

 

【ちょっと参考にした文献】

・福田 邦夫『すぐわかる日本の伝統色』
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『和の花暦と花もよう ぬり絵ブック』完成作品ギャラリー②

 こんばんは♪

 『和の花暦と花もよう ぬり絵ブック』の完成作品が少しまとまってきましたので、ギャラリー第2弾をお届けします。

 

□季節の塗り絵として制作した作品

■「藤」

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画材:油性色鉛筆。

 

■「風待月」

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画材:油性色鉛筆。

 

■「七夕祭り」
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画材:油性色鉛筆、ダーマトグラフ、サインペン。

 

□季節の塗り絵ではない作品

■「花色衣」

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画材:油性色鉛筆。

 

■「豆皿」

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画材:油性色鉛筆。

 

■「羽子板」
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画材:油性色鉛筆。

 

■「姫かがみ」
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画材:油性色鉛筆。

 

■「花のし」 ←NEW!
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画材:油性色鉛筆。

 

 7/16に完成した作品。

 熨斗(のし)を白くした為、周囲の色を華やか系にしてみました。

 背景の薄いピンク色の部分はミックス色鉛筆で塗ってあります。

 薄紫色のほうは単色の薄い紫2色を用いてミックス色鉛筆の筆跡に似せてみました。

 

 以上、『和の花暦と花もよう ぬり絵ブック』の作品ギャラリーをご覧頂き、ありがとうございました!

 それでは、また〜(^^)/

【雑談】海の日、スケッチブックを持って。

 こんばんは♪

 3連休は外出続きで過ごし、あまり塗り絵もブログ執筆も出来ないまま終わりました。

 ただ、お絵描き絡みでは海の日に特別なことがありました(^^)

 何を隠そう、動物園に行ったのです(馬🐎とギャンブラーしかいない動物園ではなく、正真正銘の動物園ですよ!)。スケッチブック持参で訪ねたのは、人生で初めてでした。

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 もっとも、生身の動物を見ながら描こうとすると、順調にはいきませんでした。

 "動物"の名の通り自分の都合で動くので、静物のようにじっくり輪郭を写し取っていても、全く別のポーズを取り始めた瞬間に中断する羽目に陥ります。

 そういう意味では、眠れるコアラは天使のような存在でした。ガラス越しに凝視していても警戒はおろか目を覚ましもしないのですから、野生動物としては心配になりますが。

 コアラはカメラで撮りにくかった為、1枚粗くスケッチしてきました☟。
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 最もじっくり描けたのは、馬でした。

 北海道和種つまり道産子が2頭いました。

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上の画像の手前側にいる月毛をスケッチしました。

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曲がりなりにも完成に至ったのは、上の1枚だけですが…💦

 
 スケッチブックを持っていって分かったのは、ワタクシのような初心者にとって動物園は割とスケッチに集中しにくい空間だという事実でした。

 スケッチ対象が動いてしまいますし、人気の動物の前では長居しにくいですし、獣の臭いや子供の声(※特に休日は絶えずどこかから甲高い奇声が聞こえます💦)で集中が削がれることもあるからです。

 

 何となく予想していた通りだった為、頭を切り替え、気になる動物たちをとにかく観察していくことにしました。

 上記コアラやウマの他、トラ、レッサーパンダ、カヤネズミといった人気の哺乳類は勿論ギラギラ観察します(^^)

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 殊にトラの佇まいは、一挙手一投足が悠然としていながら隙がなく、まさしく"絵になる"動物だと感じられました。

 

 鳥類では、ルリコンゴウインコが面白くて印象に残りました。

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ご覧の部位によって通り、部位によって羽の色が異なる為、翼を広げた時にどこの部位の羽がどういうふうに見えるか、よく分かるのです。

 目元に白黒の縞模様なども入っており、見た目でも飽きさせません。

「鳥は恐竜の子孫!!」

という説に実感が湧いてきました。
 但しこの鳥、大音声で鳴きます(笑)

 

 という具合に動物の"見溜め"をしてきました。今なら動物の塗り絵でいい作品を塗り上げられそうな気がしています。

 もっとも、実際塗り始めたら次々に不明点が出てくるのはほぼ確実。ここは束の間の幸福な錯覚に浸っておこうと思います。

 以上、塗り絵好き目線からの動物園探訪記でした。

 

 最後に、少し前で鳥の話題が出たので、鳥絡みの塗り絵を1点ご紹介します☟。
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出典:『ぬりえ天平文様 たまゆら』。

題名:「縹地唐草花鳥文夾纈絁」

(はなだじからくさもんきょうけちのあしぎぬ)。

画材:油性色鉛筆。

 こちらは、昨日塗り上がりました。

 完全に意匠化されているものの、この文様の鳥にも愛嬌がありますね。眼が"点"で表されるから可愛く見えるのでしょうか…?

 

 他愛もない疑問を残しつつ、本稿もそろそろお開きにしたいと思います。

 お付き合い頂き、ありがとうございました!

 それでは、また〜(^^)/ 

 

【制作の記録】都落ちと唐衣〜伊勢物語の燕子花〜 その3

 こんばんは〜(^o^)

 引き続き「八ツ橋(伊勢物語)」(『平安王朝絵巻ぬりえbook』収載)制作話の第3弾をお届けします。

 本稿では、燕子花(かきつばた)の葉と花を塗っていこうと思います。

 次章ちょっとだけ『伊勢物語』の解釈に踏み込みますが、塗り絵ブログの本分は守りますので、気軽にお読みください。

 

■配色のポイント①:燕子花の花と葉

 さて、その葉と花を何色で塗るのか。

 かねて示唆していたように、これは軽視できないポイントです。

 何故かといえば、東(あずま)下りの主人公(※以下「アズマくん」と呼びます)は『燕子花』&『旅の心』というテーマを指定されてすぐに

「妻が恋しい…(ノД`)」

と歌い出す訳で、燕子花の佇まいから妻を想い起こしたと見なせるのです。

 高校生時代、古典の授業でこの話を読んだ時、風雅はここが一番腑に落ちず

「どうして燕子花を見て『奥さん恋しい』ってなるの?」

と疑問に思っていました。

 "妻"とか"女性"とか、燕子花にそういったイメージがなかったもので…💦

 逆に言うと、『伊勢物語』の本文でその辺りの説明がないのは『燕子花→奥方』への連想が「あー、分かる分かるー」と同時代の読者に難なく受け入れられたからとも考えられます。

 では、平安時代の人々は燕子花にどういうイメージを抱いていたのでしょうか?

 そして、平安時代の燕子花イメージを投影して塗ることが、"読書感想塗り絵"のあり方とはなりませんでしょうか?

 

 ここで高校生の資料集にも載っているレベルで有力な手がかりに気付きます。

 すなわち、"襲(かさね)の色目"。

 十二単の配色パターンとしてご存じの方も多いのではないでしょうか?

 今回塗っている『平安王朝絵巻ぬりえbook』の8-9ページにも代表的なものが紹介されており、お誂え向きに"かきつばた"も載っていました。

 それを888色鉛筆でざっくり塗ってみると、下のようになります☟。

 

【襲の色目:"かきつばた"】

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 この通り、赤みが強い紫色の濃淡に深緑を組合せたパターンでした。個人的に、某琳派絵師の影響で『燕子花といえば青紫色』と思っていた為、少々拍子抜けしました。

 ただ、平安時代の人には

「燕子花ね。うん、そんなカンジ♡」

と思える程典型的な配色だったのでしょうね。

 

「"かきつばた"の襲の色目のような風景を目の当たりにしたとすれば、そういう装束をまとった女性を思い出しても自然では?」

 このような考えから、"かきつばた"の色目の構成色で花と葉を塗ることにしました。

 

■燕子花の葉

 花よりも葉っぱのほうが面積が大きい為、先に葉っぱに手を着けました。

 "かきつばた"の色目の緑色に近い2色を基調とし、黄緑がかった渋めの緑なども使って塗っていきます。

 凛と伸びる葉は燕子花の魅力の1つなので、葉っぱ同士が交錯したり隣り合ったりする部分で同じ色にならないように気を付けて塗りました(※参考画像☟)。

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 また、大雑把な傾向として根本が先端よりも暗く見えるように、と心がけました。

 いきおい、下のような虫喰い形式で進行することになります:

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 虫喰い式制作は幾分効率が悪い気はするものの、全体像を見渡しながら進められる点が大きなメリットだと思います。

 

 そうして、ようやく葉っぱを塗り終わりました。

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■燕子花の花

 前々章での構想に従い、花も"かきつばた"の色目に近い紫系統の2色が基調になるように色を選びました。

 1輪の花の中で赤紫の濃い部分と薄い部分が共に見受けられるように意識しながら、虫喰い式に塗っていきます。

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 線画だと小さくて分かりにくい為、似せて描いた燕子花の線画☟でどんな手順で塗ったかを大雑把に説明します。

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 なお、元は私的な記録の為、塗り方が雑ですが、ご容赦ください💦

 

①外側の大きな花びらのスジをごく薄い紫色で塗る。

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使用色:888色鉛筆のライラック

 

②スジのすぐ外側、花びら同士が接する部分など最も色の濃い部分を2色で塗る。

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使用色:888ディープバイオレット、フューシャパープル

 

③直立する花びらの中央を塗る。また、②のすぐ上側にも重ねる。

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使用色:888フューシャパープル

 

④外側の花びら以外の①〜③に一段薄い色を力強く重ね、混色する。

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使用色:888ラベンダー

 

⑤外側の花びらの下のほうにダイヤ形に濃い色を塗る。

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使用色:888フューシャパープル

 

⑥外側の花びらで少しだけ暗くなりそうな部分を濃い色で塗る

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使用色:888フューシャパープル

 

⑦外側の花びら全体を、⑤⑥と混色しながら塗る。但し最も明るくなる部分だけは白く塗り残す。

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使用色:888ラベンダー

 

⑧白く塗り残した部分を、⑦の塗り際から色を伸ばすようにして塗る

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使用色:色辞典ライラック(P-9)

 

⑨外側の花びらの最下端の線を濃い色でなぞる

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使用色:888ディープバイオレットもしくはフューシャパープル

 

⑩参考:使用色パレット

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 基本的な塗り方は上記の通りで、花びらの裏側が見える場合は、888ラベンダーで塗りました。

 あとは花の形や位置に合わせて適宜調整…という方針です。

 この線画の燕子花は同じ形の使い回しが1つもなかったので、1輪1輪が別の花なのだと意識して塗りました。

 

 花を塗り終わった時点で、下のようになっていました☟:

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■小休憩

 以上、襲の色目の色合いを用いて燕子花の群生に色を着けるところまで、お伝えしました。

 花に赤みがある為か、少なくとも男性よりは女性を思い起こさせるような色合いにはなっていると思います。

 なお、襲の色目の最左端は、「単(ひとえ)」という内側の着物の色に当たるのですが、この紅色はうまく活用出来ませんでした。

 ただ、調べてみると単(ひとえ)は色のバリエーションが少なく、概ね白・赤・深緑のいずれかの系統になるようなので、拘り過ぎなくてもいいのかな、と思っています。

 

 ともかく、これで風景部分は塗り終わりました。本シリーズ最終回はアズマくんの制作などについて記す予定です。

 それでは、お休みなさい。

 

【追記】

 襲の色目は、厳格に表示の6色を使うものではなく、状況に合わせてアレンジ可能なものだったようです。

 ただ、この議論に深入りしても塗り絵的に実りは少なそうなので、本稿では割愛しました。

 

 

【お絵描き】植物のお絵描き 第1章【枝豆のオマケ】

 こんにちは♪

 昨日彼氏が葉付きの枝豆を買ってきまして、切り取られた葉っぱを写生することになりました☟。

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 唐突なことで、手近にあった色鉛筆で描いたのですが、なかなか面白かったです。

 

■紙:クリーム色の色画用紙

 B5判より小さなサイズで、写真に撮ると色飛びして分からない程薄いクリーム色をしています。

 

■画材:油性色鉛筆

 塗り絵用に使うつもりで手近に出ていた油性色鉛筆を使いました。

 

■輪郭のスケッチ

 写生時は、葉っぱ3枚付きの葉柄を白い紙の上に冒頭の画像のように置きました。

 手前右の1枚は緑色の色鉛筆で描いたのですが、途中から水色に変更しました(最初の緑色に不都合があった訳ではなく、好奇心によるものです)。

 

■着色→完成

 輪郭を取った後、すぐに着色に移りました。

(開始直後)
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(2枚目終了後)

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 上のように1枚ずつ葉っぱを塗っていき、着色開始から2〜3時間位で完成しました☟。
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 今回苦心したのは、塗っている間にどんどんモチーフが乾き、傷みがひどくなってきたことでした。

 写生が完成する間際には、葉っぱはかなり見すぼらしくなっていました☟。

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 3枚目制作時は、葉っぱの先の丸まり具合が進行し過ぎていて、輪郭線を修正しつつ塗りました。

 この萎び方には諸行無常を禁じえません💦

 切り花などを描く時には、どうにか水分補給をしてもらえるよう気を配らないといけませんねー…💧

 

 以上、成り行きでお絵描きすることがありました、という報告です。

 お付き合い頂き、ありがとうございました。

“Secret Garden”ポストカード版 完成作品ギャラリー①

 こんにちは。

 洋書のポストカード塗り絵:"Secret Garden"の完成作品ギャラリー第1弾です。

 なお、題もインデックスもなく不便だったので、各作品の題は作品のテーマを元に便宜的に自分で付けました。

 

①「昭和浅草レインボー」

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画材:油性色鉛筆。

 昭和末期、浅草は仲見世通りの裏辺りには、世の中の流行から取り残されたようにダサくてゴチャゴチャした商店街の風景がありました。

 本作品では、その色彩イメージを遠い記憶から掘り起こして配色しています。

 凄まじく不調和な印象を受けるかと思いますが、塗っている本人は割と楽しく感じていました。

 画像では色飛びしかけている背景は、色辞典のFawn(LG-1)一色を使っています。

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彩度が低くて薄い色を背景にするとどうなるか、という実験を兼ねていました。

 

②「黄色い背景」
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画材:油性色鉛筆、万年筆、サインペン。

 こちらも実験塗り。はっきりした色を背景に配するとどうなるか、試しました。

 結果、モチーフに着けた色が、その色を白紙に塗った時より不明瞭に見えることが分かりました。写真を撮る時の逆光のカンジに似ているのかもしれません。

 作品のディテールについては、とにかく虫を頑張りたくなかった為、最初に黒く塗り潰してシルエットにしました(←後ろ向きな考え方)!

 『黃✕青』配色が好きなので、モチーフは青系統を中心にしました。

 

③「叢(くさむら)の彩り」
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画材:油性色鉛筆、サインペン。

 本作品は背景のグラデーションがテーマです。叢っぽい印象になるように、という目論みのグラデーションでした。

 

④「抹茶風味の花模様」
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画材:油性色鉛筆、メタリックマーカー。

 配色本『日本の美しい色と言葉』の"抹茶"なる配色案を参考にして制作したものです。

 詳細は7/5付の記事に記した為、本稿では割愛します。

 

⑤「青い花のロンド」
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画材:油性色鉛筆、サインペン。

 原画はモチーフが円形を描くように配置されているのですが、ポストカード版では縦向きの俵型になっています💦

 謎の編集方針に苦笑しつつ、青色中心で塗りました。

 

 以上、5月から7月初旬にかけて塗った作品5点を制作順に並べました。

 ご覧頂き、ありがとうございました

【季節の塗り絵】七夕に寄せて。

 こんばんは〜♪

 今日は七夕ですね。

 

 以前の記事で予告した通り、七夕用の線画が塗り上がったので、まずはご覧下さい☟。

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出典:『和の花暦と花もよう ぬり絵ブック』。

題名:「七夕祭り」。

画材:油性色鉛筆、サインペン、ダーマトグラフ、ボールペン。

 このページでは、七夕祭り独特の薬玉付き吹き流しが主たるモチーフとなっています。

 線画ではイカール星人のこけしの如きフォルムで描かれていますが、実物の吹き流しはもっと長くて、吊るすと迫力が出ますよね😅

 ただ、風雅の身近では七夕祭りが行なわれていない為か、吹き流しを塗っている間は

「七夕感が足りない…」

と物足りなさを感じておりました。

 そこで、七夕伝説の舞台となる天の川を描き込んだという訳です。

 近くで見るとどうしても背景のサインペンの塗りムラが目立つのですが、それでも星空になった途端に気持ちが高揚してきました♡

 

 ちなみにワタクシの願い事は、『絵が上手になりますように』ということでした。

 七夕は元来機織りなど技術の向上を祈願する節句でもあることを踏まえ、短冊に書く代わりに塗り絵をしました。

 しかし、当地の天気は横殴りの雨☔。

 "怠け者の節句働き"には天気も無情になるのでしょうか。風雅の願いはどうやら星には届かないようです(泣)。

 

 さて、節句の日に暗雲垂れ籠める終わり方はしたくないので、気分転換に別の作品もご覧下さい。

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画材:油性色鉛筆、サインペン。

 こちらは"Secret Garden"ポストカード版のうちの1点です。

 塗った時に猛烈に蒸し暑かった為、自然と青系統の色が幅をきかせる配色となりました。

 この塗り絵本は紙が厚いのが長所で、紙を裏面に貼ってメッセージカードに仕立てても、塗り絵の面に響かないことが今回確認出来ました♪

 

 本日は、七夕の塗り絵などについてまったり記してきました。

 皆さまの願いが星に届きますように🌠

 

 それでは、また〜(^^)/

【制作の記録】都落ちと唐衣〜伊勢物語の燕子花〜 その2

 こんばんは〜♪

 『平安王朝絵巻ぬりえbook』所収「八ツ橋(伊勢物語)」制作話の第2弾をお届けします。

 第1弾では八橋下塗りと水面塗りについて書きました。本稿でも引き続き風景部分の制作を進行していきます。

 

■八橋の下の暗がり

 水面塗りの直後、橋板の下が薄暗く見えるように色を重ねました。

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 このもやっとした薄暗がりがあることで、本作品の八橋が象徴ではないことが伝わるかと思い、ひそかに気合いを入れました(象徴でない何を描くつもりかと問われれば、おこがましくも『風雅の脳内で色づいた物語の情景』と言わざるを得ないのですが💦)。

 

 ここは水面塗りのライラック(888色鉛筆)の上から陰の色を薄塗りで2〜3回重ねました。

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 八橋は画面の左下から右上に向かってジグザグに曲がりながら続いていっています。左半分にUniカラーのブルーグレー(567)とポリクロモスのEarth Green(172)、右半分にUniカラーのブルーグレーとピーコックブルー(888色鉛筆)を使用しました。

 うっすら靄がかかっているイメージの為、距離が離れると青味が強く見えるものではないかと思い、左右で色を少し変えています。

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■八橋

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 水面塗りの後から、八橋にも取りかかりました。

 使用色は下の通りです☟:

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 杭は、基調色のセピアで塗りました。

 橋板には上の画像の6色を使っています。

 線画の八橋は定規そのままのような直線で描いてあるのですが、年数を経てくたびれた八橋にしたかった為、木目をフリーハンドで入れました。

 色鉛筆は最初に先を尖らせてから、鉛筆のような持ち方をして橋板の輪郭線と平行に3〜4cmの直線をサッサッと引いていくという動かし方をしました。

 この時、フリーハンドだとヨレたり平行でなくなったりする場合もありますが、概ね消さずに残しました。というのも、そういう線があると、板材が傷んで凹んだり歪んだりしたように見える為です。

 また、橋板が僅かに傾いているように見せる為、橋板同士の接合部付近の陰(※黒い線で表します)を一定の太さにならないようにしました。

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 このような小細工を混じえつつ、時々色鉛筆を替えて塗り続けます。f:id:white_fuga:20190706191223j:image

 上⬆の画像から分かる通り、初めに橋板1枚分だけ完成させてみて、この方法で塗れる感触を得てから他の板にも手を広げました。

 やがて、念願のオンボロな八橋が出来上がりました♪

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 塗り上がった時に八橋のところだけ紙が延びていたのは実話です💦。この塗り方、紙には少々負担が大きかったのかも…💦

 

■四隅の雲☁

 さて、この線画の四隅には、雲状のものがたなびいています。

 このような雲は本書の他のページにも見られるもので、画面を絵巻物風に仕立てる為の装飾要素(端的に言い換えると「ちょっと凝ったフレーム)と考えられます。

 但しこのページに限れば、水辺の靄を様式化して描いているとの解釈も出来ます。

 前々章でも記した通り、うっすら靄がかかった風景として描き出したい風雅としては、このフレームの"靄"感も利用したくなりました。

 そういう訳で、画面の中にある重要な色と近くて、かつそれに靄をかけたように薄い色を四隅の雲に配しました。

 メインのエメラルドグリーンは燕子花の葉と、薄いピンク(色名だと"ジョンブリアン")やラベンダーは花びらの色と響き合うだろうと見込んでいます。

 既にひと通り塗り終わり、このパーツについては『完成(仮)』となりました。f:id:white_fuga:20190706200200j:image

 ただ、こういう形の装飾要素を塗り慣れていない為、今ひとつ加減が分かりません💦

 他の部分を塗り進めるうちに雲とのバランスが悪いと感じた場合は、出来る範囲で修正していこうと思っています。

 

■小休憩

 今回は八橋周辺と四隅の雲☁の着色について書きました。

 制作自体はもう少し先まで進んでいて、現在はちょうど燕子花の葉っぱを塗り終わったところです。

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 この葉っぱと花から成る燕子花の群生が本作品の最大のポイントになる為、葉っぱについては続きの記事に回そうと思います。

 塗るのも書くのも遅くて申し訳ありませんが、よかったらまたお付き合いください。

 それでは、また〜(^^)/

【雑談】抹茶風味の花模様。

 こんばんは〜♪

 最近、『平安王朝絵巻ぬりえbook』所収の「八ツ橋(伊勢物語)」をメインで進めており、目下のところ燕子花の葉を塗り続けています。

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この"裏番組"として、ポストカード版"Secret Garden"から作品が1点塗り上がりました☟。

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画材:油性色鉛筆、メタリックマーカー。

 花模様ですが、緑色を基調にしています。

「毎度お花らしい色で塗るのも面白くない」

と塗り始めてすぐに、まとめ方にも少し工夫をしてみたいという考えが浮かびました。

 目指すのはマンネリ感からの脱却。

 となれば配色本の出番です(^^)

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 この本は和風の配色に特化していますが、興味深いパターンが多数載っています。

 緑色メインの新鮮な配色ということで、今回は『94.抹茶』を参照しました。

 進め方はお馴染みの虫喰い式です。
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このように全体のバランスを見ながら塗っていきました。

 一応、飲み物の抹茶をイメージしていたつもり…だったのですが、かき氷の抹茶(宇治金時)と言われるほうがしっくりくる気がしませんか?もしかしたら、ここ最近の蒸し暑さのせいで無意識にかき氷に心が動いてしまったのかもしれません…💦

 なお、上辺の背景部分はメタリックマーカーの緑色で塗り潰した上に、黒い色鉛筆をガシガシと重ねています。

 その結果、キャンバスに絵の具を塗ったような質感が出来上がりました(新鮮!)。

 今回、自分にない色彩感覚で塗ってみるのが割と面白かったので、別の機会に別の配色パターンでも試してみたいと感じました。

 

 しかし、その前に七夕でしょうかね〜。

 織姫と彦星を描いた線画は持っていない為、七夕に関連する小道具やイメージで1点でも形に出来たらいいな、と思います。

 

 それでは、また(^^)/